百貨店独自の商習慣によって、アパレルと百貨店は深い相互依存関係にあるため、結果として、両者は“集団自殺”をするかのような構図にみえる。

 商習慣の代表例が「消化仕入れ」だ。百貨店はアパレル企業に売り場だけを提供し、商品も販売員もアパレル企業側の所有・契約として準備させる。その店で実際に商品が売れて初めて、後から「その商品を百貨店が仕入れた」とみなして売り上げに計上する。

 そもそも商品を売り場に並べただけでは仕入れも発生していないので、売れ残った分は百貨店が引き取らずに済む。万一、火事で商品が焼けたり万引きされたりしても、アパレル企業側が損を引き受けることになる。

 この商習慣の源流は、1950年代にオンワード樫山創業者の樫山純三氏が、百貨店に委託取引を持ちかけたことにあるとされる。売れ残りを引き取ると事前に約束しておく仕組みは、高度経済成長期においては有効に機能した。仕入れリスクを負わない百貨店は多くの商品を売り場に並べることができたし、そもそも日本経済自体が急成長していたので、売れ残りはあまり気にせずに済んだからだ。

 百貨店が「小売業界のキング」として君臨していた時代だったからこそ、自分のリスクをアパレル企業に対して押し付けることができた。そして、バブル崩壊時点で持続可能性が怪しまれていたビジネスモデルを変えられないまま、今日まで至る。

 そんな状況を見透かすように、消費者の心は百貨店から離れつつある。

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