新薬に未知の副作用は付きもの。とりわけオプジーボのように切れ味の鋭い画期性の高い薬剤なら、本来であれば慎重な使い方が求められる。

 もともとオプジーボに関して、小野薬品工業は医療関係者向けに「十分な知識・経験を持つ医師が適切に判断して投与してほしい」と呼びかけていた。また、使用可能な施設や医師の要件も独自に定め、満たせないところにはオプジーボの流通を制限する措置も取っている。

 だが、実際には、海外から個人で輸入して適応症以外のがん患者に投与する医療関係者も相次いでいる。また小野薬品工業が自主的に定めた要件を満たした医療機関でも、患者情報を十分把握した上での適正使用が必ずしも行われているとは言いがたい状況にある。

使用規制がかかる方向に進むのは間違いない

 そこでこうした事態を重く受け止めた厚生労働省は近く対策に乗り出すことになった。オプジーボのような高額な画期的新薬については、使用できる医師や施設、患者を絞り込む「使用の最適化」を進めることとし、今後、各学会と共同で、適正使用を促すためのガイドライン(指針)をまとめる方向となった。

 これまで学会が自主的に作成したガイドラインはあったものの、国が医薬品の適正使用に関する指針を作るのは初めてのこと。もともと今年6月に閣議決定された「骨太の方針2016」には、医療費適正化の施策の一環として「革新的医薬品等の使用の最適推進」が盛り込まれており、厚労省の動きはこれに対応したものだ。厚労省は来週27日に開く中央社会保険医療協議会でガイドラインに関する論点を初めて示す。

 国が定める指針の詳細はこれから詰めていくことになるが、膨張する一途の医療費の抑制を大きな目的の一つとしている以上、使用規制がかかる方向に進むのは間違いない。となれば「生きている限り使い続けたい」といった患者の要望も通らなくなる可能性がある。その意味で医療を受ける側の患者の覚悟も問われている。場合によっては、夢の新薬がごく一握りの人にしか使えなくなる日もやってくるかもしれない。