加えて、日本企業にとって気がかりなのは、判決への反論の材料に日本を使っている点だ。

南シナ海問題は日本が原因?

 中国政府の声明では「第二次世界対戦の終結後、中国は日本が侵略戦争期間に不法に占領した中国の南シナ海の島々を取り戻した」と言及。南シナ海が領有問題でもめるようになったのは、日本が原因とも読める書き方だ。また、中国外務省スポークスマンは、仲裁裁判所の裁判官を任命したのが国際海洋法裁判所の所長を務めていた外務省出身の柳井俊二氏であることにも触れ、「今回の法廷は初めから政治化していた」と断じた。

 判決が出た12日、北京のフィリピン大使館では中国の公安当局が厳戒体制を敷いた。判決に不満を持つ市民の抗議行動を警戒したようだ。中国で事業を手がける日本企業には、尖閣国有化後に起きた中国の反日運動の苦い記憶がある。反日デモの被害を直接受けた企業だけでなく、協力事業が凍結になるといった被害を受けた企業も数多い。中国側の対応がエスカレートすれば、再びこうした動きが活発化する可能性もある。

 南シナ海は日本を含む多くの国とって大切な海上交通路でもある。中国の行動がエスカレートし続ければ、貿易などにも影響が及びかねない。中国の王毅外相は今回の判決を受けて「茶番劇はすでに終わった」と語った。だが、判決の影響が出るのはこれからだ。日本からは遠い南シナ海での出来事だが、日本の企業人も注視しておく必要があるだろう。