会社の「姿勢」のようなものを表に出していくというのは、リスクや怖さがつきまといませんか。

望月:前職でグーグルに在籍していた時に、すごいなと思ったことがありました。ソチ五輪のときに、ロシアの当時の副首相がLGBTを批判するような内容の発言をしたんですね。そのときに、グーグルはすぐさま検索窓の上に表示されるロゴをLBGTを象徴するレインボーフラッグを基調にしたものにし、差別を禁じた五輪憲章の一文を表示したんです。

 ロシアにケンカを売るようなことを、一プラットフォームがここまでやるか、と。同時に、その毅然とした姿勢に格好良さも感じたんです。

 日本の国ではまだそうしたことは一般的ではないかもしれませんが、会社だからできないということはないと思います。あるとしたら、習慣上やってこなかった、というところにすぎない。慎重になり過ぎて、行使できる影響力を使わないのはもったいないと思います。それは、会社でも個人でもそうで、例えば、1000人のFacebookの友達がいたとして、その影響力を行使するかしないかはその人の胸先三寸ですよね。持っている影響力は、個人でも会社でも恥ずかしがらずに使っていった方がよいと思います。

 当然、スマートニュース自体は大きな規模にもなっているので、社員の気持ち一つでやるやらないということではないです。客観的に、公共の観点で、自社のリソースやたくさんのユーザーとの接点があるという影響力も考えた上で、それをどう利用するかを常に考えています。

「500万しか送れない」歯がゆさも

500万人以上に届けるという影響力は大きいですね。

望月:そうですね。ただ、今回のような取り組みを通じて、何かが一気に変わるものではないということもまた自覚しています。もちろん、現在の投票率の下降トレンドが少しでも上向くようになればとは思っていますが、そのためには、500万という数字では足りない。「それしか送れない」というはがゆさも感じています。1000万、2000万とどんどん大きくしていきたいです。

 さらに僕らがこうした動きをすることで、ほかの企業が動くきっかけになれば、500万以上の力を持てるはずです。こうした動きがもっと広がっていくといいなと思っています。