「木を見て森を見ず」になってはならない
こうした日欧の動きを注意深く見つめているのが米国企業だ。日欧主導のルール作りが先行することによって、将来におけるグローバルなルール作りでの交渉の地合いが悪くならないかが関心の向きだろう。こうした米国ビジネス界の関心は将来における米国のTPP復帰への誘因にもなり得るものだ。
また、RCEP(東アジア経済連携協定)の交渉においても、より質の高いものにするうえでプラスに作用するだろう。
そうした多国間の枠組み同士の相互作用性を考えれば、日欧EPAの合意はグローバルなルール作りという日本の生命線を確保するうえで、大きな弾みとなることに注目したい。
チーズ、自動車といった個別品目の関税引き下げだけでなく、こうした本質的な意味にも目を向けた政治決断が求められる。まさに「木を見て森を見ず」にならないようにしたいものだ。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む