この世界のスピードはとてつもなく早い。いち早く事業化し、消費者に届くサービスを立ち上げた銀行が勝つことになります。ですから、外部と組むべく実際に相手を探しています。

海外ではフィンテックが普及したため、伝統的な金融機関を使わない顧客層も生まれています。

佐藤:フィンテックはそれほど競争環境を変えますし、昨日の勝者が今日の敗者になるくらいの劇的な変化を肌で感じています。これにより、日本の消費スタイルも大きく変わるでしょう。大きな買い物をしたい場合、審査を待つことなく、最初から自分が「いくらまでなら買えるのか」を理解して生活するわけですから。

「マイナス金利だから設備投資」の動きはない

2月のマイナス金利導入からしばらく経ちましたが、現場での影響などは実際に出ていますか?

佐藤:マイナス金利については、今年度で400億円程度の収益圧迫要因になると公表しています。マクロ的に考えると、あのタイミングでの導入は、将来に対する不安を明らかに惹起してしまったように感じます。実際に、マイナス金利を受けて設備投資しようという経営者に会ったことはありません。

 先行導入した欧州でも確実な効果は出ていません。国内でも直接的な設備投資には結びついていないですが、マイナス金利が経営にどういう影響を与えるのかについての、企業サイドの理解は進んできました。

 例えば、金利低下によって退職給付の負担が業績に影響してきます。そうなると、確定拠出年金に移行したいとか、マイナス金利になったので借り入れの構成を抜本的に見直したい、という企業側の動きが出てきます。確定拠出年金なら信託、借り入れ構成の大胆な変更なら証券というように、すべての機能を一つのグループで持っているみずほの強みが生かせます。今後、銀行はこの部分で差が付くでしょう。

2008年のリーマンショックは、銀行にビジネスモデルの変革を迫りました。あの転換点を経て、今後はどういう銀行を目指しますか。

佐藤:銀行単体のサービスだけで満足している顧客はもういません。業績が好調な企業にお金を貸すのは誰でもできます。リーマンショックで投機的なマネーゲームが消え、もう一度、新しい金融機関の姿を模索してきました。

 「銀行だけ」でも「証券だけ」でもダメです。銀行、信託、証券、それに投資顧問とリサーチコンサルティングを加え、5つの柱で顧客のニーズに柔軟に寄り添っていきます。これを達成できれば、金融にはまだまだ成長していく余地があると考えています。