タカタ側の『切り札』

説明会会場に入る債権者。大手企業の社員が多く集まっていた模様

 タカタからお願いされるまでもなく取引を継続したい下請け企業は少なくないだろう。しかし、タカタの執拗なまでの「お願い」には、取引先を失う不安が透けて見える。

 タカタにとって下請けをつなぎ止める「切り札」となり得るのが、民事再生法85条の規定だ。タカタが「必要不可欠な取引先」として認めた債権者は、裁判所の認定を経て、優先的に債務の弁済を受けられるというもので、タカタはこの規定について時間をかけながら丁寧に説明した。債権者からも「必要不可欠な取引先」の判断時期などについて質問が飛ぶなど、関心は高かった。

 下請けにとっては、85条規定は「取引を継続すれば、優先的に債権を返済してもらえる」という動機付けになる。逆に言えば、取引を止めると、債権回収が難しくなるとの「脅し」ともいえる。

 28日の債権者説明会は当初の予定どおり、1時間半程度で終了。不規則発言が飛ぶこともなかった。ある債権者は「今日は事前の報道で分かっていたことを確認しに来ただけ。想定内の問答だ」と話す。

 ただし、今回質問した債権者は大手の金融や製造グループの社員が多かった。6月30日の滋賀県、7月3日の佐賀県での説明会では、零細の債権者が集まる可能性もある。大阪府から駆けつけたという下請け企業の男性従業員は「滋賀の開催まで待っていられないので出張してきた。小さな会社なので2次破綻が心配だ。滋賀の説明会にももう一度行きたい」と話した。

 これまでタカタは再建方針を巡る完成車メーカーとの交渉に多くの時間を割いてきた。下請けをつなぎ止めるための「お願い行脚」はこれから本格的に始まることになるが、この行脚が新生タカタの命運を握る。