名古屋市のコメダ珈琲店の店舗。外には駐車場を完備し(上)、店内はレトロな雰囲気に包まれている(下)(写真2点:堀 勝志古、以下同)
名古屋市のコメダ珈琲店の店舗。外には駐車場を完備し(上)、店内はレトロな雰囲気に包まれている(下)(写真2点:堀 勝志古、以下同)

コメダの成長は、13年7月に社長に就任した臼井興胤氏の経営手腕によるところも大きいと思います。

加笠氏:誰にコメダの社長を任せるか。我々が投資する前から臼井氏と決めていたわけではなく、投資後、何人かいた候補者の中から、最適な人材として選びました。

 当時のコメダの社員数は百数十人と少なく、運営店舗のほとんどがフランチャイジーです。社長職を担うには数字や経営理論に明るいだけでなく、人柄も大事な要素です。人付き合いの上手さと、日本マクドナルドのCOO(最高執行責任者)を務め外食業界にも明るい点を踏まえ、臼井氏に社長就任を依頼しました。今振り返っても良い出会いだったと考えています。

人材確保とマーケティング支援

MBKはこれまでどのように経営に関与してきましたか。

池田氏:事業の運営は臼井社長や社員にほぼ任せてきました。我々は、代わりに大きく分けて2つのことに取り組みました。

 まずは社員にストックオプション(株式購入権)を与えるなどのインセンティブを導入しました。コメダの成長を支える優秀な人材を外部から集めるためです。人材確保については、臼井社長を慕ってコメダに入社した社員がいるなど、臼井氏の存在も大きかったです。

望月氏:もう1つはマーケティング面での側面支援です。コメダは1968年の創業からこれまで、メニューや価格をほとんど変えてきませんでした。ある年にマーケティング予算をそれまでの約3倍に増やして、大規模な消費者調査を実施。各メニューの需要に合わせて価格を改定したほか、定番の「シロノワール」に偏りがちだったデザートメニューを刷新しました。スーパーバイザーを3倍近くに増員して、店舗の新たな管理指標も導入しました。

池田氏:従来のコメダは商品別の採算管理がなされておらず、店舗数の急激な増加に伴って、本社の店舗への管理機能も低下していました。我々の役割はコメダの経営を「見える化」すること。そして正しい道を進めるよう、車の運転で例えると計器類をきちんと揃えることだと考えています。

上場に当たって株式の売り出し価格は1960円と、仮条件(1780~1960円)の上限に決まりました。

加笠氏:コメダHDは2020年度末までに国内外で1000店舗体制にする中期目標を定めています(現在はコメダ珈琲店と、甘味喫茶「おかげ庵」の合計で約690店)。成長性が個人投資家や機関投資家に正しく評価されたものと考えています。

上場に伴う株式売り出しで得る資金は最大で約600億円。投資額(負債を含め約430億円)を引いても大きな利益を手にできます。

加笠氏:投資の成果としては相当な成功案件だと思っています。我々も顧客の資金を運用しているので、コメダHD株の売却で得た資金は、まずリターンとして顧客にお返しします。今回の実績をベースに、また新たな資金をファンドとして集め、次のビジネスにつなげていきます。

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