政府・与党は急激な円高・株安が実体経済に及ぼす影響を注視しつつ、景気テコ入れ策の検討も急ぐ考えだ。アベノミクスの根幹ともいえる円安・株高の流れが止まり、賃金アップや設備投資増加にブレーキが掛かれば、デフレ脱却や政権運営への逆風となってしまうためだ。

 6月28日には経済財政諮問会議を開催。これを機に政府・与党は経済対策の具体的項目の検討に着手する見通しだ。

消費喚起・中小企業対策が柱に

 具体的には、消費喚起策や資金繰りなどの中小企業対策、子育てや介護支援策、ロボットや人工知能(AI)を駆使した「第4次産業革命」の推進策などを盛りこむ方向で検討する。

 ただ、対策の財源は赤字国債に頼らず、税収の上振れなどの活用が軸となるため、対策の規模は数兆円程度にとどまる可能性がある。経済対策は2016年度第2次補正予算案として秋に開く臨時国会に提出する予定だ。

 こうした当面の対応に加え、アベノミクスの再加速に不可欠な成長戦略の深堀りや財政健全化の検討作業も重要となる。企業業績が落ち込み、個人消費が冷え込めば、経済成長と財政健全化の同時達成を目指すとする安倍政権の基本方針に黄信号が点滅しかねないからだ。

 日本が成長戦略の柱の1つに据える経済連携協定の推進を巡っては、英国がEUからの離脱を決めたことで、日本とEUのEPA(経済連携協定)交渉に暗雲が垂れ込めている。米国でTPP(環太平洋経済連携協定)協定発効への手続きが進むのか不透明なことも大きな懸念材料だ。

 こうした状況も踏まえ、政府は経済連携戦略の再構築とともに、海外発の要因にできるだけ左右されずに持続的な経済成長を可能にする環境整備を重視する。企業活動を後押しする規制改革や働き方改革、所得アップに向けた制度改革などの具体化に向けたシナリオを描き直す方針だ。

 政府は英国のEU離脱決定を受けた世界的なパワーバランスの変化や国際情勢の不安定化への懸念も強めている。

 世界的な反グローバル主義、ポピュリズムの拡大が政治を突き動かし、経済も左右するーー。

 今回のブレグジットショックは、日本政府と企業に対し、複雑さを増す世界情勢の現実をまざまざと見せつけ、戦略の再構築を迫る分岐点となったのは間違いなさそうだ。