国際政治、外交への影響は小さくない

 ただし、冒頭で触れたように、国際政治や外交などへの影響は決して小さくなさそうである。筆者の専門分野ではないため詳述は避けるが、各国が内向きになりつつある昨今の雰囲気を、加速させる契機となることなどが懸念されよう。

 しかし、それが世界経済や日本経済にリーマン・ショック並みの打撃となり得るとは到底思えない。長期的な世界経済の発展のスピードが緩やかになる、といった程度であろう。

 なお本稿では「マクロ経済」の視点で考察を行っており、日本企業の在英子会社が打撃を受ける可能性については、考慮していない。英国に進出している日本企業の関係者にとっては切実な問題だろうが、それらの企業は英国企業である。仮に日本企業の在英子会社が打撃を受けても、せいぜい親会社の受け取る配当が減る程度であって、ただちに日本の景気や成長率が影響を受けることはないからである。

悲観的な評論家が多いが…

 今回に限らず、何か起きると悲観的な見通しを述べる評論家が多い。その一因は、楽観的なことを言うより悲観的なことを言う方が賢く見えるためである。

 「大丈夫」と言うと、「これほどリスクがあるのに、気づいていないのか?」とバカにされてしまいかねないのである。実際、筆者がそうしたコメントを頂戴することもある。

 悲観的な論説の方がウケるのは、「幸福な予測は一様に幸福であるが、不幸な予測はそれぞれに不幸である」ためだとも言える。つまり「大丈夫」という予測は話を膨らませることが難しい一方で、「心配なリスクが多数あります」という話はいくらでも膨らませることができるためだ。日本人が楽観的な話よりも悲観的な話を聞きたがる傾向があることも理由の一つだろう。

 いずれにせよ皆さんは、マスコミからの情報にはそうしたバイアスがかかっていることを再認識し、それぞれの論説を吟味してほしい。特に、英国のEU離脱が決まったばかりの今は、話題の方向性が悲観論に偏りすぎの傾向があるようだ。その場の空気に流されずに、自ら冷静に落ち着いて考える必要があると思う。