決定的に雰囲気が変わったのが、午前4時ころ。離脱派が不利と見られていた地区でも勝利を収める地区が続出した。午前4時時点で離脱が全体の51.3%、残留が48.7%となった。

 午前4時過ぎには、離脱派の英国国民党(UKIP)のナイジェル・ファラージュ党首が早々と「勝利宣言」を出した。開票直後に「残留派が勝利したかも知れない」と弱気な発言をしていたのとはうってかわり、「今日が英国の独立記念日だ」と高らかに宣言した。

「独立記念日にする」と叫ぶファラージュ党首(写真:Press Association/アフロ)
「独立記念日にする」と叫ぶファラージュ党首(写真:Press Association/アフロ)

 そして、4時45分過ぎ、BBCが離脱の確報を打った。

移民問題、EUへの猜疑心

 離脱キャンペーンが正式に始まってから3カ月。当初は誰も現実になると思っていなかった事態が現実のものとなった。離脱派が勝利した理由は、「それでも、英国がEUから出たい理由」で書いたことに集約される。移民問題であり、官僚的なEU組織に対する猜疑心だ。

 離脱派が6月以降、移民問題に絞ってキャンペーンを展開した効果も大きかったとみられる。英仏海峡を渡って英国に入る移民の数がクローズアップされた時期とも重なり、国民の関心をうまく取り込んだ。

 逆に残留派は、経済や生活に与える負の影響を過度に強調したことが裏目に出た。その主張は離脱派からは「プロジェクトフィアー(恐怖)」と揶揄された。

 キャンペーン期間の終盤には、残留を訴える労働党の下院議員、ジョー・コックス氏が殺害される事件が起きたが、風向きは変わらなかった。

反EU機運が欧州全土へ

 キャメロン首相は国民投票の前、結果は絶対であり、絶対に覆らないと宣言していた。離脱が決定した今、次の焦点は、英国がいつ正式にEUに対して離脱を通知するかに移る。

 経済への影響も避けられない。既に金融市場が大きな影響を受けている。英国経済も大きく揺さぶられるのは間違いない。金融サービス業では「シングルパスポート」、輸出企業では「シングルマーケット」のメリットが失われる可能性がある(「離脱で世界同時株安も」)。

 影響は欧州全土に広がる懸念がある。EUに懐疑的な反EU勢力の動きだ。26日には、スペインで総選挙が予定されている。さらに、フランス、イタリア、ドイツなど、大型の選挙を控える国で反EU勢力がさらに勢いを増す可能性も否定できない。

 さらに英国内でも、EU残留を望んでいたスコットランドの独立機運が再び盛り上がる公算が高い。

 6月24日は、英国にとって歴史的な一日となった。もはや後戻りできない一線を越えてしまった。