日本瓦斯はガス業界の“暴れん坊”という定評がある。今年4月からの電力小売り自由化で東京電力と組み、電力とガスのセット販売に乗り出したが、和田真治社長の目は来年4月に始まるガス自由化に早くも向いている。米国にも進出し、自由化時代の厳しさを肌で知る。「徹底した業務効率化でコストを下げ、価格競争を勝ち抜いていく」と言い切る。

(聞き手は田村 賢司)

※この記事は、日経ビジネス2016年6月6日号 スペシャルリポート「電力自由化が盛り上がらない3つの理由 大山鳴動して変更1%」に連動したものです。あわせてご覧ください。

今年4月からの電力小売り自由化に合わせて東京電力ホールディングスの子会社、東京電力エナジーパートナー(東電EP)と提携し、電力とガスのセット売り、さらに都市ガスの大量供給も受けることを決めました。狙いは何ですか。

和田真治(わだ・しんじ)氏
日本瓦斯社長
1977年3月、日本瓦斯入社。営業畑を中心に歩み、97年6月、取締役営業部長兼西関東支店長。2000年6月、常務取締役営業本部西関東支店長、2004年6月、専務取締役営業本部長、2005年6月、社長就任。(写真:柚木裕司)

和田:当社は関東で家庭用を中心にLPガスと都市ガスを供給していますが、実は30年前に米ハワイのガス会社を買収しようとしたことがあります。米国は、電力・ガス自由化の元年のような頃で電力とガス会社が激しい競争を始めていました。

 ガス会社が自前で電力を作って売ろうとすると、電力会社がその電気を自社の送電線に入れる際の料金を高くしたり、大変な戦いでした。そのうち、両者は次第に統合されていったのですが、当時から将来、自由化が進んだらどうするかを考えてきました。

 今回の電力小売り自由化では、東電EPとの提携でまず、電力と当社のガスのセット販売を始めました。さらに来年4月からはガスの自由化も始まりますが、同時に東電EPから都市ガスの供給も受けることにしました。この大量調達によるコスト低減と、当社自身が業務効率化で生んだ原資で10%は価格を下げ、初年度に11万件の新規顧客を獲得したいと思っています。

米国に進出、テキサス州では8位に

意欲的な価格引き下げですね。自由化をチャンスと見ているわけですか。

和田:やはり顧客にとっては価格は重要です。それも10%位下げて、以前とははっきりと違いが分かるようにしないと魅力にはなりません。

 自由化については海外での経験も大きいですね。ハワイのM&Aは結局、実現しませんでしたが、2011年に米国とオーストラリアに進出しました。

 このうち、米国は各州の中で自由化が最も進んでいたテキサス州で電力小売りを始め、翌2012年からはニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットなど北部7州で電力・ガス小売り事業をスタートさせています。昨年末で顧客数は計17万5000件になり、テキサスの会社は昨年黒字化、米国事業全体でも今年は赤字を脱却できます。オーストラリアの事業はその後、売却しました。