焦点となるのは、消費増税の先送りと、財政健全化をいかにして両立するかだ。2020年度のプライマリーバランス黒字化という目標は、ただでさえ「達成は厳しい」(外資系エコノミスト)との見方が多かった。2020年度に消費増税効果が一部反映されなくなるため、目標は更に遠のく。格付け会社に財政再建が難しくなったと判断されれば、日本国債格下げのリスクが高まる。

 消費増税延期には景気対策としての合理性はある。日本経済のボトルネックは、個人消費の弱さにあるからだ。アベノミクスで企業収益は増えたものの、実質賃金はマイナス成長が続いてきた。

4兆円規模の税収が失われる計算

 SMBC日興証券の試算によれば、今回の消費増税延期によって2017年4月に増税した場合に比べて4兆円規模の税収が失われる計算だ。消費増税を見送ったことで4兆2000億円のマイナス影響がでるが、景気落ち込みの回避効果により所得税で約2000億円、消費税が約300億円上ぶれるという。消費増税によって更にダメージを被るはずだった家計に対する経済対策とも言える。

 ただし、社会保障充実を目的とした消費増税を先送りしたことで、将来の負担や不安が増す面がある。安倍首相は社会保障の中でも特に参院選の争点となっている、保育サービスの拡充などについては優先的に実施する構えだ。だが、例えば保険料支払い期間を現在の25年から10年に減らして無年金者を減らす対策などは、先送りとなる可能性が高い。将来への不安が残るようであれば、国民は消費ではなく生活防衛に向かう可能性がある。