食材の鮮度を最重視し、欠品をいとわない売り方で人気の食品スーパ―、エブリイ(広島県福山市)グループ。このほど長野県の地域農協、信州うえだ農業協同組合(JA信州うえだ、上田市)と提携した。農産物の流通を変えると意気込む新たなプロジェクトの中身とは。
提携を発表するエブリイホーミイホールディングスの岡﨑雅廣社長(右から2人目)、JA信州うえだの坂下隆行組合長(左から2人目)ら

 「『欠品は悪で、欲しいものを欲しいだけ調達する』という流通企業の論理が生産者に負担を強いて、様々な所でひずみを生んでいる。この延長線上に農業の未来はなく、流通の仕組みを変える必要がある」

 食品スーパーのエブリイを傘下に持ち、外食や弁当販売の事業も手掛けるエブリイホーミイホールディングス(HD)の岡﨑雅廣社長は、5月31日の記者会見でこう意気込みを話した。

地域の農産物を全量買い取り

 今回提携するのはエブリイホーミイグループ、JA信州うえだと、地元で青果物の卸売りを手掛ける長野県連合青果(上田市)。同JA管内の「よだくぼ」南部地区(長和町と上田市)の農家が生産した野菜や果物をエブリイホーミイが全量買い取る。エブリイの店頭で販売するほか、形などが規格外で売り場に並べにくい農産物は、グループの外食や弁当製造・販売事業での食材として活用する。

 生産者がプライドをかけて育てた農産物の価値を、新たな流通の仕組みで最大化し販売する――。熱い想いをつなぐという意味を込めて、プロジェクト名を「チーム襷(たすき)」とした。

 提携の第一弾として、広島県と岡山県に展開するエブリイの店舗で5月中旬、よだくぼ産のアスパラガスの販売を始めた。店舗では今後、ブロッコリー、トマトなど順次品目を広げ、今年夏~秋に販売する。よだくぼ産の野菜だけで同期間に約1500万円の売上高を見込んでいる。

 青果物の流通では、地域農協が出荷し、卸売会社が仲卸業者を通して小売りに販売するのが一般的。だが今回のプロジェクトでは、地域農協(JA信州うえだ)と卸売業者(長野県連合青果)が仲卸業者を介さずに、直接エブリイホーミイに出荷する点が特徴だ。特定の産地から農産物をスーパーに直接出荷する仕組みに、地域農協と卸売会社が関わるのは、全国でも珍しい。