東京都は独自の道を歩む

 日本の地方空港から海外に行く際、韓国の空港で乗り換えるというのはよく聞く話だが、コンテナ貨物にしても、近隣諸国の有力港で積み替え、欧米に運ぶ構図が生まれつつある。コンテナ貨物は衣服や家具、家電などの消費財、製造業の部品、食品など多様な品目を運ぶ。

 基幹航路が減るとどうなるか。積み替えのための余計な時間やコストがかかる。国交省によると、コンテナ1個あたりの日本発着の欧米便の料金を約3000ドルとした場合、海外で積み替えると1000ドル単位で追加コストが発生するという。それによって企業活動や貿易拡大にとっての逆風が強まれば、日本の競争力が低下する。雇用機会が減るのに加え、民間投資が年4000億円減少するとの試算もある。

 選択と集中を通じ、中枢港湾を維持、拡充しようとの発想が今回の動きの背景にある。先行する阪神港では、西日本全体からの集荷拡大などで貨物量が下げ止まってきた。

 だが、課題もある。京浜港を構成する大黒柱、東京都が参加していないからだ。当初は横浜、川崎と歩調を合わせる方向だったが、国交省主導で物事が進むことへの警戒感が都庁や都議会で広がり、最終的に参加を見送ったようだ。

 都港湾局幹部は「集荷が重要課題の横浜・川崎と、増え続ける輸入貨物への対応が急務の東京では事情も違う」と指摘する。東京は集荷に困っておらず、今のところ方向感が異なる。何かしらの必要があれば協議すれば十分というわけだ。東京都は将来的な合流まで否定してはいないが、京浜港の航路数が減少の一途をたどるなか、全体最適を考えると連携不足の感は否めない。

 集荷の主な手段は補助金頼みだが、海運会社からは「そもそも空洞化で日本発着の貨物が減っている」「期限付きの補助金では航路設定の判断に与えるインセンティブとしては限定的」といった声も上がる。海運業界は海外勢を含む共同運航が主流となっており、地元日本の海運会社といえども、経済合理性を重視する傾向が強まっている。

 日本の港湾機能を強化するうえで、中枢港湾を軸としたポートセールス、埠頭やクレーンの整備は有意義で、早急に進めるべきだ。ただ港湾周辺の道路や空港を含む幅広いアクセス向上や、利用企業が安心して物流戦略を立てられるような中長期的で使い勝手の良い制度、サービスも欠かせない。そして最も重要なのは、成長戦略の着実な実行による日本経済全体の底上げだろう。