今回の総会の議案は3つある。1号議案は余剰金の処分、2号議案は取締役14人の選任、3号議案は執行役員ならびに、取締役や執行役に対するストックオプションなどについて。注目は2号議案。セブンイレブン社長からセブン&アイ社長に昇格する井阪氏に対し、株主はどのような評価を下すのか。一連のお家騒動について、鈴木会長は自分の言葉で、株主に説明をするのか。今のところ、議長の村田社長などからもそうした説明はない。
業績・事業説明の映像が終わり、議長である村田社長が1号議案から3号議案までの決議事項の説明をする。そしていよいよ、新たな取締役をどのように選んだか、そのプロセスの解説を始めた。
村田氏
「3月8日、取締役会の監督機能を向上させることなどを目的に指名・報酬委員会を設置しました。指名報酬委員会は、取締役の選任議案に対し、3月下旬から複数回開催され、多角的な視点から検討しました。しかし委員会で最終的な結論に達せず、承認されなかったため、取締役会に審議を委ねることになりました」
「4月7日の取締役会では、賛成が出席取締役の過半数に達せず承認されませんでした。4月15日の指名・報酬委員会では、新たな役員人事案を組成することとし、4月19日開催の取締役会で審議の結果、出席取締役の全員賛成で承認されたため、本総会に付議するに至りました」
壮絶なお家騒動があった割に、村田社長の説明はあっさりとしたまま終わった。内容は淡々としているが、口調ははきはきとしている。
続いて村田社長は、「これより報告事項、招集通知に記載している1号議案から3号議案まで決議事項について、質問を受けます」と話し、株主との質疑応答が始まった。
同時に「本日は本会場以外に別会場も用意しています」と説明。質問がある場合には、係に案内されて、本会場に移動してから、質問する体制を取るという。
村田社長「もう、『ノーサイド』」
10時45分、男性株主が2号議案について質問を始めた。
株主
「4月7日の取締役会では、無記名投票となったと聞きます。ただ、無記名投票では誰がどういう理由で投票したのか分かりません。投じた票とその理由について、それぞれの役員に聞きたいと思います」
村田社長
「確かに4月7日に取締役会で審議をしました。その際、多くの取締役から意見をもらった上で無記名で投票をしています。なぜ無記名かというと、我々のグループが一丸となって、遺恨を残さず、各自の意見に基づいて投票するためです。この方法は弁護士にも確認したので違法ではありません。合法です。その結果として、会社側が提案した井阪さんの退任の件については、反対という結論に達しました」
「もう、『ノーサイド』。これからは全員が一体となって経営にあたらなくてはならない。それがお客様、加盟店のオーナー様、取引先様などの信頼を得ることになります。無記名なので、私どもは誰が賛成であったか、反対であったかは分からないし、それを問うことを必要としていません」
会場からは拍手が起こる。村田氏は、強い口調で「以上、回答でした」と締めくくった。
株主が憤慨「ヨーカ堂のパンツは1カ月でダメになる」
別会場からも質問の手が上がった。男性株主の質問。
株主
「1998年から株主で、今回は1つのお願いと1つの確認があります。お願いはイトーヨーカ堂について。まず業績が悪いですよね。株主として、私はいろんな商品をイトーヨーカ堂で購入しているけれど、イトーヨーカ堂のパンツは1カ月でダメになります。ゴムがすぐにダメになる。こんなところで言うのも何だけれど、おしっこするのも不便なんです。私は株主ですからイトーヨーカ堂のものを買っていますが、あんなものを売っているから、今のような状況になんです」
「もう1つ。先ほど村田さんは、『これからはノーサイド』と言ったけれど、今まではノーサイドでなかったのでしょうか」
商品については亀井淳・イトーヨーカ堂社長が回答した。
「私どもは常に、安心安全でより良い商品作りを心がけています。株主様には今回、大変不快な思いをさせてしまいました。今後もご意見を取り入れ、より満足して頂けるような商品を開発し、お手元にお届けしたいと思います」
「ノーサイド問題」については村田氏が回答。
「それは『てにをは』の問題ですね。実は非常に多くの株主様がいらして、緊張しています。これから『は』ではなく、これから『も』ですね。大変失礼いたしました」
少し照れたように「緊張している」と説明して、村田氏は株主からの質問をうまくかわした。
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