また取引先であるクウェートの建設会社の財務悪化に伴い、作業員への給料遅配が発生。作業が進まなくなり、取引先を選び直して発注したのも予期せぬトラブルとなった。改修工事ゆえに既存の埋設物も少なくないが、記録の不備などで埋設物が何なのか、そのたびに確認や対応の時間もかかった。

 一連のトラブルで工期は1年ほど延び、現時点では2019年3月期中の完成を見込む。工期が延びた分、人件費はもとより、資機材などのコストも連鎖的に増大した。見過ごせない事態に発展していることが分かり、2月に復帰したばかりの石塚氏が社長に就任する流れが固まった。

問題発見や対応へのスピードを高められるか

 先日開いた記者会見で、石塚氏は「緩んだタガを締め直す」と自らに課せられた使命を語った。顧客の要望や天候不順、その他の諸々、複雑で大型のプロジェクトで予期せぬ事態が起こるのは当たり前。大事なのは「問題の発見や対応のスピード」と石塚氏は指摘した。本来であればこれほどの業績悪化は避けられたはずだとの認識を示した。

 現場で奮闘する各部門に混乱を招かないよう、案件の全体を見渡して小さいうちに問題の芽を摘んでおくプロジェクトマネージャーの役割の重要性を強調した。今後は自らが社長として大局的な立場から再発防止に目を光らせる。

 日揮だけでなく、同業他社や重工業界などでも顕在化したリスクへの対応が後手に回って業績が悪化する事例が最近、続出している。

 各社はリスク評価委員会などを設置して対応に乗り出しているが、今のところ成果は明らかではない。プラント現場の裏表を知り尽くした石塚氏が社長就任後、どのような手を打ち出すのか、注目したい。