賭けに出たJDI「想定より有機EL化、早く・・・」

 液晶から有機ELの流れを捉え、着実に手を打つ部材メーカーがある一方で、大打撃を受けているのが中小型パネルに特化するジャパンディスプレイ(JDI)だ。

ジャパンディスプレイ(JDI)の有賀修二社長(左)

 同社は17年3月期に317億円の最終赤字を計上した。18年3月期は通期の見通しを公表していないが、17年4〜6月期に150億円の営業赤字を見込み、「第2四半期も引き続き厳しい」(有賀修二社長)状況。これまでは売り上げの5割をアップル向けが占めていたが、次期iPhoneでは受注を大幅に減らしたと見られている。

 「想定より有機EL化が早く進んだ」。決算説明会で有賀社長はこう述べた。次期iPhoneのハイエンドモデルで採用されると見込まれている有機ELパネルは、実用化で先行した韓国のサムスン電子と、LGディスプレーが供給する見通しとなった。

 JDIも有機ELの開発を進めている。今夏には千葉県茂原市の工場内にパイロットラインがようやく完成するものの、調整を経て量産は「早くても18年以降」(有賀社長)。それも、アップルに供給できる生産規模ではないため、少なくとも19年まで、iPhone向けの有機ELパネルを販売できる体制は整わない。

 JDIは4辺の額縁が数ミリメートルで、曲げられる液晶パネル「フルアクティブフレックス」を開発。今年の冬、18年モデル向けにアップルに売り込んでいた。フルアクティブフレックスであれば画面を曲げられるため、デザイン性を高められる。有賀社長は「半年早ければ採用されたかもしれない」と悔やむが、後の祭りだ。

JDIの「フルアクティブフレックス」なら四辺すべての額縁が狭く、曲げられるためデザイン性を高められる

 「大手のお客さんがやるということは一つのトレンドで、抵抗し難いことも認識している」。有賀社長は、フルアクティブフレックスのスマホへの展開を一旦止め、有機ELに経営資源を集中する方針を明らかにした。

 JDIはアップルが有機ELを採用しても、しばらくは液晶の需要も続くとみており、その間に有機ELパネルの量産体制を確立する方針だった。しかし、iPhoneの影響を受ける中国メーカーが有機ELを続々と採用するシナリオが現実味を帯びている。

 「大手の顧客含め、(有機EL化が)一気に加速していく中で、この2年くらいの会社運営を考えた時、それに見合った費用構造、事業構造に変える必要がある」(有賀社長)。JDIはラインの停止や人員削減を含めた構造改革を進める計画。顧客の要望を見誤った重いツケがのしかかっている。

 JDIは17年末までにパナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLEDを子会社化する予定。JOLEDは秋から中型の有機ELモニターを量産する計画をこのほど公表している。ただ、同じ有機ELでもJDIとJOLEDでは生産方式が異なるため、量産技術確立に向けた相乗効果は不透明だ。

 有賀社長は6月以降もJDIの社長兼COOとして残り、株主総会後に同社会長兼CEOに就任するJOLEDの東入来信博社長とともに構造改革を指揮する。