便乗ゴミなのか否かは判別できない
街にあふれるゴミは、震災によって発生したものなのか、生活ゴミなのか。熊本市廃棄物計画課の担当者は「生活ゴミを災害ゴミとして廃棄する“便乗ゴミ”かは区別がつかないので、収集せざるを得ない」と話す。
実際、熊本市で発生するゴミが急増している。通常の年間埋め立て量に対して震災後だけで4年分のゴミが発生した。
ゴミの急増に対して、熊本市は収集体制を強化してきた。市外の市町村や民間の廃棄物処理事業者の応援を受けている。熊本市は通常160台体制で収集しているが、福岡市や鹿児島市など市外から100台体制で応援に来ていて、収集能力は高まっている。ピーク時に比べて少しずつ市内に山積みされているゴミの量は減ってきている。
しかし熊本市廃棄物計画課の担当者は「避難所などから自宅に戻って家を片付けた際にまたゴミがたくさん出る可能性があり、市内のゴミが片付くメドは立っていない」と先行きを読めないでいる。
こうした状況に追い打ちをかけたのがゴミ焼却工場の被災だ。熊本市は2つのゴミ焼却工場があり、その1つの東部環境工場の冷却装置が破損し、停止していた。

5月1日、熊本市の東部環境工場を訪れた。工場の隣にある関連施設の屋根が倒壊し、地震の激しさを物語っていた。
クルマで工場の入り口に進むと、職員から「災害ゴミの搬入ですか」と呼びかけられる。自家用車で災害ゴミを持ち込む住民が多いためだ。
工場では焼却炉メーカーである日立造船の社員と協力し、冷却装置の補修を進めていた。
森崎忠教工場長は「2炉あるうちの1炉の復旧を進めている。一刻も早く再稼働したいが、全く初めての経験で、再稼働できるか分からない」と話した。
応急措置で再稼働できなければ、全面改修が必要になり、時間と費用がかかるという。
ただその後、応急措置は上手くいったようだ。日量300トンの処理能力がある焼却炉が稼働し、工場内のピットにたまったゴミを燃やしている。

収集されたゴミは工場内に入りきらず、近隣の仮置き場にも山積みになっている。周囲を回ると異臭が漂ってきた。
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