一連の騒動は「透明性を高めるいいきっかけになる」

逆に鈴木体制から変えなくてはならない点は何でしょう。

井阪:一連の騒動の中で、意志決定の透明性や公平性は、きちんとしていかないといけないと勉強しました。指名・報酬委員会や、投資に関してもポートフォリオ委員会を通して、経営陣が決断を下した課程や理由について、外部から見て分かる意志決定のプロセスを確立していきたいですね。

鈴木会長の長期政権が続いた結果、後継者選びにも苦労しました。井阪体制では、後継者選びについてどのような仕組みを整えるつもりですか。

井阪:後継者選びについては、すぐに考えたいと思っています。サクセッション・プラン(後継者育成計画)はとても大切だと思うので、勉強していきたいですね。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の有名な人事評価制度「9ブロック」などを勉強しながら、どういう形で後継者を選定すべきか、考えていきたいです。またセブン&アイ傘下には色々な業態の事業会社がありますから、その1カ所だけで経験を積むのではなく、多様な事業を経験させることも、考えなくてはならないと思っています。社長の任期制についても、考えるべきでしょうね。

一連の騒動は、結局、お家騒動なのか、一部で言われているような社外取締役の“暴走”なのか、それとも単なるアクシデントなのか。いずれにしても、セブン&アイという日本を代表する巨大企業の内情としては、あまりにもお粗末であることが明らかになりました。

井阪:世の中の人がどのように企業を見ているのかということに対して、いろんな角度や価値観があるということを、改めて社内で認識しなくてはいけないと実感した、というのが私の感想です。

 私はずっと事業会社の経営を続けてきて、なかなかグループの社外役員や社外監査役と会う機会はありませんでした。けれど今回、騒動が落ち着いてから、トップミーティングに出席をさせてもらって、社外の方々と意見交換をするようになりました。そして、「こういう考え方があったのか」ということを改めて勉強しています。ですから今後は、こうした社外の声も反映させた経営を実践していこうと思っていますし、何よりも意志決定プロセスの透明性をもっと高めていくべきだと思っています。一連の騒動は、ガバナンスをより強化する、いいきっかけになったと思っています。