つまり、「ひずみ」はないということでしょうか。

井阪:はい、そういう認識です。

 今期もセブンイレブンは過去最高益を更新する計画です。毎年、年初に計画を立て、設備投資を重ねて売り場を増強してきました。それは売り場を時系列で見てもらえれば分かるでしょう。私がセブンイレブン社長を務めた7年間で、色々な投資を重ねて、売り場環境は大きく変わりました。

 例えば島型のチルドケースを導入して、チルド商品の取り扱いスペースを広げましたし、それでもニーズが膨らんだので、今度は低床型のチルドケースを入れたりもしました。カウンター回りではコーヒーを始めたし、揚げ物も2009年から全国展開しています。

 食の外部化ニーズに対応しながらも、チルド弁当などを開発して賞味期限を伸ばしたり、店内で提供できる食品を増やしたりして、お客様の選択肢を増やしてきたわけです。同時に、製造現場への負荷も低減してきたと自負しています。出店を増やし、売り場面積を広げている割に工場の数は増えていないので、工場の生産効率はむしろ高くなっていますから。

 ですから「ひずみ」という指摘については、あくまでも憶測であると私は思っています。こうした風評を私は直接聞いていません。

グループトップの役割は「資源の再配分」

鈴木会長はグループのトップとしてセブン&アイの経営を実践すると同時に、セブンイレブンなど、傘下にある事業会社の経営についても細部まで判断をしてきました。井阪さんはどのような形でグループを経営するのでしょう。

井阪:グループトップの役割は、経営資源の適正配分にあります。成長分野に対しては資源の再配分をしていくことでしょう。

 例えば、セブンイレブンはこの5年間、最高益を更新し、45カ月連続で既存店売上高が前年比をクリアしている。これは、予算やアクションプランを立て、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回して、計画がしっかりと達成できているかということを、精度高く検証してきたからだと思っています。こうしたPDCAサイクルを、各事業領域でしっかりと回せるようなサポートをすることが、持ち株会社の役割でしょう。

 同時に各事業会社をモニタリングし、計画が達成できているかどうかという監督業務を実践する。その結果、執行責任をきちんと果たしている事業会社は手厚く資源を再分配するし、しっかりと評価もすることになる。

結果が出せない事業会社はどうでしょう。

井阪:PDCAサイクルを回しながら、計画の軌道修正をしていくことになるでしょう。

こうしたPDCAサイクルを回しながら1〜2年様子を見て、どうしても改善や成長が見込めない事業については、鈴木会長の意志で傘下に収めた事業でも、切り離していきますか。

井阪:可能性としては否定しません。

切り離す覚悟はありますか。

井阪:最も大切なのは、変化対応です。私が鈴木会長からずっと薫陶を受けてきた経営理念が、変化対応と絶対的価値の追求でした。これがセブン&アイの経営基盤であるし、私の価値基準のベースでもある。ですからそこは踏襲しながら、鈴木会長の築いた地盤の上で、各事業会社のトップと対話を重ねるつもりです。

 この先、それぞれの事業会社をどのような形にしていきたいのか、対話の中で事業計画を立て、執行できているか確認しながら経営を進めていく。その中で、結果として不幸にも成長が見込めないということであれば、売却の可能性はゼロではありません。