在庫を流用、それでも足りず

 

 原因の一つが、部品の玉不足だ。アップルに部品を納める取引先メーカーによると、「SEの部品は6や5sと同じものを流用しており、SE向け設計の部品はほぼゼロ。事前にアップルから提示された計画では、在庫分で十分に賄えると考えていたが、その数字を上回る反応で供給が追い付いていない」と言う。

 アップル側がこうした状況に対して、積極的に増産して対応するといった姿勢が見られないことも品薄の原因の一つ。「もともとSEは今秋登場する主力機種『iPhone 7』までのつなぎという位置付け」(部品メーカー関係者)とされている。販売店からも「SEの販売に力を入れているようには見えない」との声が聞こえる。実際、マーケティングにはさほど力を入れておらず、今もテレビで流れているCMは6sが中心だ。

 もともとSEはアップルがインドなど新興国市場の開拓を狙い投入した製品。ブランド力を重視し高付加価値路線を進むアップルにとって、「SEが売れすぎてしまうことで、秋に登場する本命の7の販売に影響が出てしまったら困る」(同)との思いが強く、品薄状況への対応が鈍くなっているようだ。

対応の遅れは顧客離れにも?

 それもそのはず。足元で主力の6sは販売不振が続いている。部品メーカーからも、「5sや6用の在庫がはけるよりも、6sの減産が痛い」と嘆く声のほうが多い。iPhoneの生産は、今年1~3月期に続き4~6月期も前年比3割の減産の計画。「6sは利益率の高い高付加価値部品が採用されている。こっちが伸びてくれないと困る」というのが部品メーカーの本音だ。

 4月26日に発表したアップルの1〜3月期決算は、売上高が前年同期比13%減となった。iPhoneの販売台数が前年を割り、13年ぶりに減収となった。本命とする7の登場まであと数カ月。SEの品薄状況へ積極的に対応しなければ、懸念している顧客離れはさらに加速しかねない。