清涼飲料最大手、コカ・コーラグループのボトラー(製造・販売会社)であるコカ・コーライーストジャパン(CCEJ)とコカ・コーラウエスト(CCW)は4月26日、経営統合に関して基本合意したと発表した。統合時期や詳細は今後詰めるが、実現すれば国内のコカ・コーラグループの販売量で9割弱を握る大型ボトラーが誕生する。長年飲料業界の首位に君臨してきた同グループだが、近年は2位のサントリー食品インターナショナルが猛追。米国のコカ・コーラ本社の危機感も統合を後押しした格好だ。
ボトラーの仕組みは米コカ・コーラ独自のビジネスモデルで、炭酸飲料「コカ・コーラ」の原液などを供給され、それを最終商品に加工して小売店などで販売するメーカーを指す。日本では米本社の完全子会社である日本コカ・コーラが原液の販売やマーケティング、商品開発などを担っており、各ボトラーはそれぞれの事業エリアで工場や営業網を持ち、商品の製造・販売を担ってきた。
シェア合算で9割弱に

現在、国内には7社(CCW子会社含む)のボトラーがあるが、特に販売数量の大きいのが東日本を地盤とするCCEJと西日本が地盤のCCWだ。CCEJは1都15県で事業を展開し、グループ内に占める販売シェアは約51%。CCWは同じく2府20県でシェアは約35%となっている。単純合算で売上高は約1兆円、営業利益は約250億円となる。
CCEJ、CCW、日本コカの3社はこれまでも水面下で統合の可能性を探ってきたが、今年2月から具体的な統合交渉に入った。今回締結した基本合意書を基に統合準備委員会を設立して3社の各社長が共同で委員長を務め、今後統合の具体的な形態や統合比率、代表者らについて協議する。「具体的にいつ経営統合するかなど、ロードマップは全く決まっていない」(CCEJ広報)状況だが、まずは市場に対して早期統合の意志を示した格好だ。
経営統合により、新会社は日本全国にまたがって生産拠点や営業拠点を再編し、生産の効率化などを通じた収益力の向上を進めることになる。SMBC日興証券の沖平吉康シニアアナリストは「既存の体制では難しかった固定費の大幅な削減などが進めば、業界首位として規模のメリットを活用した収益改善が期待できる」と評価する。
米コカ・コーラは世界戦略として、各国で地域の状況に応じたボトラーの再編を指向している。例えば欧州などでは大型ボトラーが誕生しており、日本においても競争力の強化に向けた再編は不可避と見られてきた。ただ、想定の範囲内である今回の統合については、飲料業界では「想定よりも早まった」との見方も強い。
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