「CM停止が続くと東日本大震災を思い出して辛い」

 もちろん、関東でも震度5を超える揺れを観測したことや、東京電力福島第1原子力発電所の事故で停電が広がるなど、関東の視聴者も被災したという事情もあるだろう。人命を数える行為が許されないとは重々承知のうえだが、犠牲者・行方不明者の数も今回とは桁が違うという事情もあるかもしれない。

 それでも、ふたつの地震を受けた企業の対応を見比べると、明らかな差が出ている。放映を中止する対象地域だ。

 広告代理店からテレビ局に伝えられた「自粛リスト」を見比べてみる。ある大手飲料メーカーは11年、目立った被害のなかった「四国・九州・沖縄」でもCMの放映をやめた。ところが、今回の地震では「沖縄除く九州7県」にとどめた。理由は「流通が間に合わない」。商品が被災者の手に届かないのに広告を打てないという実質的な理由で、自粛ありきではなかった。

 メガバンク系の消費者金融会社も、2011年は全国を対象に自粛したが、今回は熊本だけにとどめている。大手の衣料製造小売り会社や、大手食品メーカーも同じ対応を選んだ。ある化学メーカーの担当者は「東北の消費者から『やっと復興が進んできたのに、CMの放映停止が続くと東日本大震災を思い出して辛い』との意見が寄せられた」と明かす。

 企業は模索を続けている。地震大国こその悩みともいえるが、これを非常時の緊急対応とみなすのではなく、消費者とどう向き合うべきかという大きなテーマだととらえる姿勢が求められている。

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「花王は早々に4月30日までの中止を決めた」としていましたが、「花王は報道特番と名前が付く番組では4月30日まで放映を中止する方針を広告代理店などに伝えた」に修正します。本文は修正済みです [2016/04/22 14:30]