親からの贈与が投資資金に

 運用会社同士による値下げ競争は、“デフレスパイラル”の様相を呈してきた。要因はいくつかある。1つはネット証券利用率の高まりだ。ネットやスマホでの投資に抵抗を感じる高齢者は、店舗を持つ証券会社で口座を開く。一方で、ネット専業証券には手厚いサービスよりも、コストにシビアな若年層が集まる。「ノーロード」や「信託報酬が低い」といったシンプルな商品特長はネット証券利用者に受け入れられやすい。投資家のニーズが低コストのインデックス型に移りつつあるのは確かだろう。

 もう1つの要因が開始3年目のNISA(少額投資非課税制度)である。同制度では投資から得られる利益に対して2割課せられる税金が免除される。NISA口座の投資上限は今年から100万円から120万円に引き上げられ、毎月10万円という、分かりやすい目安が生まれた。積み立て投資に向いた低コスト投信のニーズは高まっている。

 そして、昨年1月の相続増税によって進む資産移転だ。「贈与などで資金を手にした現役世代が投資を始めた」と見られている。若年層は短期の値上がり益や毎月の分配金狙いではなく、長期保有を前提に投信を選ぶため、やはり、長期で効いてくる信託報酬の高い安いが投信選びの鍵になる。

 国や証券業界は「貯蓄から投資へ」と長年訴えてきたものの、先進国と比べて日本の現金貯蓄率は高止まりしてきた。今後、マイナス金利が銀行からの資金流出を生めば、“デフレ投信”がその受け皿になりそうだ。