相川社長「忸怩たる思い」

 記者会見に出席した相川哲郎社長は「2000年以降、少しずつ石垣を積み重ねるように改善してきたが、全社員にコンプライアンス意識を徹底することの難しさを感じている。非常に無念であり、忸怩たる思いだ」と語った。

 今回の問題により、三菱自動車はこの10数年で3度目の危機に直面する。2000年にリコール(回収・無償修理)隠しが発覚して業績が急落し、独ダイムラークライスラー(当時)の傘下に入った。その後も分社化した三菱ふそうによるリコール隠しによって元社長らが逮捕され、2004年にはダイムラーが追加の支援の中止を決定。三菱重工業と三菱商事を中心に、三菱グループ各社が優先株を発行して何とか破綻を免れた。

 その後、日産自動車との軽自動車事業での提携や三菱ふそうのダイムラーへの売却、車種の絞り込みなどを経て2007年3月期決算で4期ぶりに黒字化し、2008年3月期には過去最高益を達成した。リーマンショック後には再び最終赤字に転落したものの、アジアなど新興国市場に注力することで2015年3月期には1359億円の過去最高の営業利益を記録し、復活を遂げつつあった。三菱グループ各社が持っていた優先株の多くも処理済みで、復配も果たした。

 たび重なる不祥事でブランドイメージが大きく毀損しており、品質への不信感も完全に回復したとは言えない。そのため、市場で不具合が発生してから対策決定までの期間を半減させる目標などを掲げ、「製品品質で業界トップレベルを目指す」をスローガンに品質改善への取り組みを進めてきた。

 ただ昨年11月には、新型車の開発の遅れを適切に報告していなかったとして、担当部長2人を諭旨退職処分とし、商品戦略を統括する常務執行役員を執行役員に降格させるなどの処分を実施したばかり。社内の情報共有や開発体制に課題が残る中、新たな問題が発覚したことになる。

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