
三菱自動車が、不祥事によって再び危機的な状況に追い込まれた。
4月20日、燃費試験のデータについて、燃費を実際よりもよく見せるために社内で不正な操作があったことを発表した。走行試験で得た「走行抵抗値(走行時のタイヤなどの転がり抵抗や空気抵抗)」のうち、小さい数字を意図的に国土交通省に提出し、燃費や排ガスを計測していた。それにより、カタログ上の燃費が5~10%水増しされた。
不正が明らかになったのは4車種。そのうち三菱自動車の「eKワゴン」と「eKスペース」はこれまで累計で15万7000台を販売。日産自動車に供給している「デイズ」と「デイズルークス」は46万8000台が該当する。いずれも両社の軽自動車のラインナップの主力で、2015年度の販売台数は三菱自動車の「eK」シリーズが4万3297台、日産の「デイズ」シリーズが14万413台となっている。

該当車種について、既に水島製作所(岡山県倉敷市)での生産と販売をストップしている。日産の販売店でも20日から対象となる軽自動車の販売を停止しており、同社のホームページからも姿を消している。「デイズ」は2015年度の軽自動車の販売台数ランキングで3位に入る人気車種だが、日産は当面の間、販売できなくなる。
三菱自動車は今回の数値の不正について、「第一性能実験部」が関与したとしている。どのレベルの担当者が関与していたかを調査している最中で、外部の有識者のみによる委員会を設置し、不正に至った経緯や全貌を解明していく。
不正の発覚は、軽自動車事業で提携している日産自動車からの指摘がきっかけだった。日産が昨年11月、三菱自動車が開発した軽自動車の燃費を試験したところ、走行抵抗値が国交省に提出されていた数値と明らかな開きがあった。今年2月に両社で調査を始め、4月に不正が判明した。
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