
1957年10月生まれ。80年セブン―イレブン・ジャパン入社。商品畑を歩み2002年同社取締役、2006年同社取締役常務、2009年同社代表取締役社長兼セブン&アイ・ホールディングス取締役、2016年5月セブン&アイ・ホールディングス社長就任予定(写真:的野弘路、以下同)
鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者、83歳)の突然の退任表明によって大混乱に陥っていた、セブン&アイ・ホールディングスのトップ人事が4月19日、ようやく決着した。セブン&アイの次期社長には、子会社セブン-イレブン・ジャパンの現社長でセブン&アイ取締役の井阪隆一氏(58歳)が昇格。セブン&アイの副社長には後藤克弘取締役(62歳)、セブンイレブンの社長には同社の古屋一樹副社長(66歳)が就く。鈴木会長と村田紀敏・セブン&アイ社長兼COO(最高執行責任者)は退任する。
一連の騒動は、鈴木会長が井阪・セブンイレブン社長を事実上、更迭する人事案を、今年3月下旬に指名・報酬委員会に諮ったことから始まった。セブンイレブンは2016年2月期に、5期連続最高益を達成するなど、業績は好調に推移している。指名・報酬委員会では社外取締役が井阪氏の実績を踏まえて鈴木会長の人事案に反対を表明。4月7日の取締役会でこの人事案は否決され、混乱の責任をとって鈴木会長が退任を表明する事態に発展していた。
食い違う鈴木氏と井阪氏の主張
鈴木会長は、井阪氏から新しい事業のアイデアが出てこなかったことに不満を抱き、井阪氏の更迭を主張した。鈴木会長は4月7日の退任会見で、次のように語っている(会見全文は「セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部」)。
「彼(井阪氏)がCOOとしての役割を果たしたかというと、一生懸命やってくれたんでしょうが、会社全体として見るともの足りなさがあった。(中略)新しい案が(井阪氏から)出てきませんと言うことを、幹部たちが口をそろえて言っている」
しかし井阪氏自身はセブンイレブン社長として、同社を危機的な状況から復活させ、持続的に成長させてきた自負があるはずだ。事実、井阪氏は2014年の日経ビジネスのインタビューで次のように語っていた(詳細は「セブンカフェは失敗の歴史から生まれた」)。
「キャッチフレーズや発想が会長から出ているのならば、(セブンイレブンの)競争力は会長自身にあると思われるのかもしれません。ただ、全部のアイデアが会長から生まれているのではありません」
Powered by リゾーム?