米国から「MSG」の風評を払拭する

欧米では歴史的に、多くの消費者が味の素の主成分であるグルタミン酸ナトリウム、いわゆるMSGに対して抵抗感を持っています。取り扱っている商品が「MSGフリー」であることをウリにする大手スーパーなどもあります。こうした状況は、欧米での事業拡大に逆風ではありませんか。

西井:確かに、欧米ではそうした傾向はあります。食の世界は非常に保守的ですから。しかし、その一方で、欧米の消費者は非常に合理的でもあります。

 MSGに関して言うと、いわゆる生理学的な有用性というのはアカデミアの世界で認められています。安全かどうか、というレベルの話ではなく、有用であるという理論が形成されつつあります。2006年にうま味のレセプターが舌で発見されて、それが胃にもあるということが分かっています。

 最近では、うま味が「UMAMI」として欧米でも受け入れられるようになってきました。最近、日本に上陸した「UMAMI BURGER」などは、その典型でしょう。UMAMIの基は、MSGを含むいくつかのアミノ酸だということが分かっています。こういうことは、頭で理解できますよね。

 そしてもう1つ、「MSGは体に悪い」という、いわゆる社会的風評の払拭に向けた活動も始めていきます。そういう活動はこれまで、まったくやってきませんでしたが、歴史的にどのようにMSGの風評が形成されていったかを、ハーバード大学のある先生に研究してもらっています。

 その成果を、2018年に開催予定の「世界UMAMI料理フォーラム(仮称)」で発表する予定です。生理学的な観点と社会科学的な観点の両方で、アカデミックな発表をする準備を進めています。それを起点に、いろいろな国で情報を発信していく計画です。

 世界UMAMI料理フォーラムの最初の開催地に米国を選んだのは、非常に合理的な判断を消費者がしてくれると期待してのことです。米国が変わると、世界的に大きな影響があるでしょう。食品の規制なども、米国の状況に準じている国も多いですから。米国できちんとした情報が発信されるようになれば、時間はかかるかも分かりませんが、世界が変わっていくのではないかと考えています。