暗躍するOBの姿は日本企業の現実

4月7日の鈴木会長の記者会見には、古参の顧問が登場し、鈴木会長の主張の正当性を訴えました。ガバナンスの観点から見て、いかに異常な会見をしているのか、本人たちは気が付いていないようでした。

:会見を見る限り、セブン&アイは極めて日本的な会社だと思います。創業家である伊藤家と、鈴木会長の間を顧問が行ったり来たりしていたという発言が記者会見でありましたが、既に経営から退いた顧問が重宝がられるというのは、日本企業の特殊性をよく表していると思います。これはセブン&アイだけではなく、多くの日本企業の現実ではないでしょうか。

 顧問のようなOBが、人事などに口を出してくる事例が多くの企業で見られるのは、日本企業の悪いところです。グローバル化や技術進化によって事業環境が激変しています。もはや3年前に正しかったことが今、通用するとは限りません。しかし、OBは過去の経験を踏まえて口を出してきます。そのような意見を聞いていたら、まともな経営はできません。

 もちろん、多くのステークホルダーがいる中で、大株主である創業家は、キーステークホルダーの1つです。当然、経営者としてその意向を意識せざるを得ないでしょう。しかし、トップだけではなく創業者の意向をも忖度し、しかも、OBたちがそうした作業に動き回り、経営に影響力を及ぼしていては、ガバナンスは崩壊してしまいます。

 繰り返しになりますが、コーポレートガバナンスとは、経営者を律することです。今回のセブン&アイの問題は、改めてコーポレートガバナンスを考え直すきっかけとなるのではないでしょうか。