2020年に納入できれば優位性は保てる

 またMRJは現在、400機超を国内外で受注しているが、うち半分程度はキャンセル可能な契約とみられ、納入遅れに対する顧客の反応が懸念されている。ただ、営業担当者からの報告を踏まえ「顧客からはこの状況についてご理解をいただいていると思っている」とした。また「現状のスケジュールが守られれば(競合するブラジルの航空機メーカー、エンブラエルなどに対する)優位性は守れる」と述べた。

 ただし、MRJの初号機納入先であるANAホールディングスはMRJの納入遅れに伴って米ボーイングの代替機を一部調達すると報じられており、今後の顧客の反応は読み切れない部分も少なくない。水谷氏はANAの動きについては「先方が決める話」としてコメントを避けた。

ホームタウンで水谷氏は求心力を発揮できるか(撮影:早川俊昭)

ゴールに向かって歩み続けるしかない

 報道陣の関心が薄かった水谷氏の人柄については、会見の際に配布された資料から垣間見える。中学から大学までは剣道に熱中。体を動かすことが好きで休日はウォーキングなどに汗を流す。東京での在任中はJR山手線一周を8~9時間かけて歩いたことも。日常生活で気分転換する秘訣は、シャワーで頭を洗ってさっぱりとすることとしている。

 仕切り直したとはいえ、依然として予断を許さない状況が続くMRJ。それでも「航空機は参入障壁が高い分、成功すれば中長期的な収益源になり得る」と三菱航空機の関係者は強調する。しかし高騰する開発費など、生みの苦しみにどれだけ耐えられるのか。MRJは型式証明を取得して世界の空に向かって本当に離陸できるのか。水谷氏の手腕には三菱航空機はもとより、三菱重工の未来もかかっている。