民進党の蓮舫体制が揺れている。党内保守派の長島昭久元防衛副大臣が共産党との共闘路線を批判して離党を決断。執行部の一員だった細野豪志氏も代表代行の辞表を提出した。苦戦が予想される7月の都議選を前に公認内定者らの「離党ドミノ」も続く。党勢低迷を象徴するような自壊の動きが広がり、結果的に安倍晋三政権をアシストする構図となっている。
民進党内の結束を揺るがす事態が多発し、正念場を迎えている蓮舫代表。(写真:アフロ)
民進党内の結束を揺るがす事態が多発し、正念場を迎えている蓮舫代表。(写真:アフロ)

 「共産党と共闘する党の方針は受け入れがたい」

 今月10日、離党届提出後の記者会見で長島昭久元防衛副大臣は離党を決断した理由についてこう強調した。

「民共路線は受け入れがたい」

 長島氏は安全保障政策に詳しい保守派の論客として知られる。共産党との選挙協力に否定的で、以前から離党の可能性がささやかれていた。衆院東京21区で落選して比例代表で復活当選し、民進の都連幹事長を務めていた。2016年3月の民進党結党後、同党所属国会議員の離党表明は初めてとなる。

 長島氏がこの時期に離党を決めた背景について、長島氏に近い民進議員は「党にとどまっても先が見えないという閉塞感に加え、7月の都議選をにらんだ動きだ」と解説する。

 長島氏の地元では元秘書などが小池百合子都知事が実質的に率いる「都民ファーストの会」との連携へと動き出している。長島氏も会見で「あらゆる可能性を追求していきたい」と語り、小池氏との連携も視野に入れていることを示唆した。

 これ以上の所属国会議員の離党を防ぎたい民進執行部は火消しに追われている。11日の常任幹事会で長島氏を除名処分とする方針を決定。野田佳彦幹事長は会見で、野党共闘について「変えるつもりはない」と断言した。

 今のところ、長島氏に追随する動きが広がるかは見通せない。だが、民進の中堅議員は「離党を考えている議員はかなりいる」と明かす。水面下では憲法改正の発議をにらみ、改憲勢力の拡大を目指す自民党による切り崩し工作が加速している事情もある。

 「自民党と同じ会派で活動をしてもらえればありがたい」。長島氏の離党表明を受けた自民の下村博文幹事長代行のこうした発言はなんとも示唆的だ。

 長島氏の離党表明にショックを受けた蓮舫代表だが、13日にはさらに党内の結束を揺るがす事態が起きた。細野豪志氏が代表代行の辞表を提出したのだ。

 きっかけとなったのが、10日発売の中央公論で発表した憲法改正私案だ。高校までの教育無償化を柱とする内容で、「教育無償化に憲法改正は不要」とする蓮舫氏の考え方や党の正式な方針とは食い違っている。

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