労使で協力し「年1800時間」に挑戦

2年前倒しというのは、かなり大胆な見直しだと思いますが、当初はなぜ2020年度を目標にしたのですか。

西井氏:社外との関係があります。取引先やサプライヤーさん、海外法人のサポートなど、我々の仕事はさまざまな関係で出来上がっています。従って、1800時間にするには職場ごとに工夫が必要です。時間がかかると思い、目標を2020年度にしました。

 しかし、その後の労働組合との交渉や、これまで実施してきた働き方改革の取り組みの結果を見て、労使のトップ同士で相談し、前倒すことに決めました。

2年前倒す提案は、労働組合側から提案されたものでしょうか。

西井氏:まず私から、社長就任後に「1800時間を目指そうよ」と提案しました。組合は、経営トップがそんなことを言い出すとは思っていなかったので、びっくりしたと思います。彼らも1年ぐらい検討して、1800時間をやったらいいことがありそうだと思ってくれたみたいです。

 話が具体的に進み始めたのは、昨年11月頃。組合の委員長と私が2人で会った時に、「積み上げの話ではなく、1800時間をいつやるか。組合としてもそろそろ決断をしてくれないか」と相談を持ちかけました。組合側も中央執行委員会を中心にイニシアチブを取って、意見をまとめてくれました。その結果が、中計に盛り込んだ「2020年度までに」という目標でした。

2年前倒しは高いハードルだと思いますが、その決断は何がきっかけとなったのですか。

西井氏:味の素では2012年から、全従業員が年間の働き方計画表というものを作成しています。これはエクセルを使って会議の時間を調整したり、計画的に休みを取ったりなど効率性を高めるためのマネジメントツールです。上司と対話をしながら、この計画表をベースに働き方を改善します。これによってまず、2000時間台だった労働時間を50時間縮めることができました。昨年4月からは人事部と組合が中心となり、この運用をさらに強化したことで1900時間が見えてきました。

 あと100時間で1800時間です。頑張ればできそうですよね。ただし、それを達成するには、頑張ればできることと、頑張っただけではできないことがあります。そこで、1800時間への障害を取り除くために、例えば、報告だけの会議は廃止し、会議は「決める」ものだけにしました。ほかには、営業や外勤だけでなく全従業員にモバイル性の高いPCを配布する投資をしました。4月1日からはITもセキュリティーの高い仕組みに変更しました。これらが導入されれば、改革がより加速し、1800時間を達成できると考えたわけです。