2つ目の違いは米ゼネラル・モーターズ(GM)と提携して始めた「エクスプレスドライブ」です。通常は1年くらい経過したクルマを週ごとにレンタルしますが、フルタイムの運転手であれば無料で借りられます。
我々はどんどん技術を改善し、運転手の待遇改善につなげています。
ソフトの面では、運転手とのコミュニケーションを密にとっています。我々のサービスは急激に変化しますので、変化があった際にはすぐにお伝えするようにしています。
我々の文化としては、運転手に尊厳を持って対応することを心がけており、運転手には乗客とフレンドリーに接してほしいとお願いしています。
具体的なデータがあります。ウーバーとリフトを兼務している運転手にアンケートをとると、8割以上がリフトがいいと答えているのです。

GMは課題の都市部を攻略できる
1月にGMがリフトに5億ドル出資したことは大きなニュースになりました。提携はどこまで進んでいますか。
グリーン:1月に10億ドル(1100億円)を増資し、そのうちGMが5億ドルを引き受けてくれました。
具体的には今年3月にシカゴでGMと新サービス「エクスプレスドライブ」を始めたばかりです。100台を用意すると、1週間で埋まってしまい、今は1000人の順番待ちのリストがあります。非常に人気があるプログラムなので、全米に展開していきたいと思います。
最もワクワクするのは、GMと10年後の世界のビジョンを共有していることです。
今はクルマを所有することが前提となっています。保険、給油、駐車などをそれぞれ別の会社と契約しています。
今ではスマホをクリックして手配できるようになりました。10年後には自動運転が普及していると思います。
両社が合意していることは、交通サービスのビジネスを拡大していくという点です。交通サービス市場は世界で年間10兆ドル(1100兆円)になると言われており、そのうち2兆ドルが米国です。
エクスプレスドライブは両社の協業の第1弾です。今は通常のクルマを提供していますが、将来的には自動運転車になると思います。
ただ、完全自動運転の世界になるには道のりが長く、この2~3年では一部で自動運転が導入されるでしょう。完全に舗装されて、天気がいい時などに短距離で自動運転が導入されるでしょうが、天気が悪い時や長距離では、運転手が運転するでしょう。
徐々に自動運転に切り替わっていて、完全な自動運転になると思います。
GMは先見の明があります。米国での収益源は郊外で使われる大型のピックアップトラックです。自動運転を使ったライドシェアは都市部で先行するので、都市部での市場を抑えることができるのです。
GMが成功するために3つの要素が必要です。1つ目は規模で、これは問題ありません。2つ目はセンサーやAI(人工知能)です。同社は(シリコンバレーの自動運転ベンチャーである)クルーズ社を買収し、体制を整えつつあります。3つ目はリフトが提供するライドシェアなどのネットワークです。GMはこれらの3つをそろえようとしています。
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