PwCあらた側は16年3月期に修正の必要がないと認識?
このため、東芝のケースで言えば16年3月期決算に問題があるというはっきりした証拠でもない限り、実態としては調査範囲を広げることはしないと言われる。
この点について、PwCあらた側が確たる証拠を持っているかどうかは不明だ。監査法人の内情を知るある関係者は、「PwCあらた側は東芝の16年3月期について、現時点では修正の必要はないとの認識を新日本に伝えている」と話す。事実なら、PwCあらたがこれまで実施してきた16年3月期決算を含む調査の評価になぜ時間がかかるのか、疑問も残る。
もちろん、東芝の主張もうのみにはできない。「東芝の綱川智社長は、S&Wの買収時に原発建設費用がオーバーしかねないことは理解していたが、コスト削減で補えると考えていたことを認めている。やはり、その見積もりが甘かった可能性はある」(重電業界アナリストの和泉美治氏)からだ。
東芝問題を巡る次の焦点が17年3月期決算であることは言うまでもない。だが、このままでは膨大な数の株主に甚大な影響を与える上場廃止も視野に入る。PwCあらたは、今後の方針について説明する必要があるのではないか。
米原子力事業の巨額損失、大黒柱のフラッシュメモリー事業の“売却”……。かつての名門企業はなぜ、崩壊の危機に瀕してしまったのでしょうか。
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≪書籍の主な内容≫
【序章】 こじ開けたパンドラの箱
【第1章】 不正の根源、パワハラ地獄
【第2章】 まやかしの第三者委員会
【第3章】 引き継がれた旧体制
【第4章】 社員が明かす不正の手口
【第5章】 原点はウエスチングハウス
【第6章】 減損を回避したトリック
【第7章】 歴代3社長提訴の欺瞞
【第8章】 「著しく不当」だった監査法人
【第9章】 迫る債務超過、激化するリストラ
【第10章】 視界不良の「新生」東芝
東芝、三菱自動車、東洋ゴム…
企業の不正事件が後を絶ちません。ひとたび不祥事が発覚すれば、社長が謝罪し、お飾りの再発防止策が発表され、事件は幕を閉じようとします。ただ、それで問題は解決したのでしょうか。
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