輸出も即効性は見込めない

 政府は2014年に防衛装備移転3原則を閣議決定。日本の安全確保などの条件を満たせば、防衛装備を輸出しやすい条件を整えた。

 ただ輸出も一筋縄ではいかない。防衛産業では「輸出解禁」への期待が一時的に高まったものの、これまでのところ目立った案件はない。防衛装備の取引には相手国首脳との政治的駆け引きや独特の商習慣、これまでの実績などがカギを握る。日本にはこうしたノウハウが蓄積されておらず、技術移転をどこまで認めるかなど、実務的にも詰め切れていない点が少なくないからだ。世界最高水準の性能を誇るとされる通常型の潜水艦についても、オーストラリアへの売り込みが昨年失敗に終わったのは記憶に新しい。

 一方、いわゆる軍艦ではないが、日本政府によるODAでJMUがフィリピン向けに巡視船10隻を建造中という動きもある。これまでに2隻を引き渡しており、フィリピンの沿岸警備隊が周辺海域の監視などに用いる。東南アジア各国は中国の台頭に警戒感を強めており、今後もこうした案件が出てくる可能性はある。

 短期的には艦艇輸出の実現性は高くない中、どのようにして艦艇の建造基盤を維持していくのか。防衛省は2018年度から複数隻を発注する新型護衛艦について、複数企業による共同建造方式とする新しい取り組みを表明するなど、一定の対策に乗り出してはいる。空母の運用や建造を加速し、海上軍事力を拡大する中国の脅威が高まる中、日本の艦艇の建造基盤の維持は今後さらに大きな政策課題となりそうだ。