米トランプ政権によるシリアへの巡航ミサイル攻撃が、シリア、ロシア、そして北朝鮮、中国との関係にどう影響しそうか。米国のシンクタンク「センター・フォー・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティ(CNAS)」会長のリチャード・フォンテーヌ氏に聞いた。

米軍のミサイル攻撃を受けたシャイラート空軍基地

米軍がシリアの飛行場にミサイル攻撃を敢行した。これをどう評価する?

リチャード・フォンテーヌ氏
センター・フォー・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティ(CNAS)会長
米上院外交委員会や米国務省、米国家安全保障会議、CNASのシニアアドバイザー兼シニアフェローなどを経た後に現職。2008年の大統領選の際にはジョン・マケイン上院議員の外交政策アドバイザーとして仕えた。若い頃、英語の教師として1年間、埼玉の高校に勤務した経験がある。

リチャード・フォンテーヌ氏(以下、フォンテーヌ):今回のミサイル攻撃は、化学兵器を利用したアサド政権に対する対応として適切だった。シリアに対する米国のアプローチという点だけでなく、ロシアに対するアプローチという点でもターニングポイントになるだろう。結果として、ロシアに対してより重大な意味を持つかもしれない。

 アサド政権の空軍力に攻撃を加えることには反対論もあった。シリアの防空システムの攻撃対象に、米国の戦闘機が含まれるようになる可能性があるからだ。

 シリアとロシアは洗練された防空システムをシリア上空に配備しているが、これまでのところ米軍機は対象にしていない。今後、アサド政権が米軍機をターゲットに加える可能性がある。事実、ミサイル攻撃以来、米国は飛行任務の数を削減、使用する航空機も最も先進的なF22(ラプター)に制限している。今後、ダマスカスの反応を見ることになろう。

シリアには制裁強化が必要だ

フォンテーヌ:問題として残るのは、今回の攻撃が1回限りの懲罰的なものなのか、アサド大統領を排除することを目指した幅広い取り組みの第一歩なのかということだ。

 私はシリアの政権移行に関する議論をリスタートすべきだと思っている。それは地上部隊のバランスを変えなければ達成できない。トランプ政権は武器の供与などでアサド政権に対抗している反体制派を強化し、安全地帯を設定するなどもう一段の措置を執る必要がある。

 論拠はISISの脅威だ。トランプ政権はこれまでのところ、アサド政権の蛮行が、ISISやヌスラ戦線によるテロリストのリクルートに繋がっていることを認めていない。だが、1つの問題は別の問題を引き起こす。そうなれば、シリアとISISの両方に対処しなければならない。内戦によって国内の不安定さが増せばテログループの聖域を作ることにつながる。

 もちろん、それはトランプ政権にとって大きな変化だろう。だが今週に見たこと、つまりミサイル攻撃に比べれば何ということもない。