価格戦略転換は「チラシ商法」との決別?

値引き販売によって計画に満たない売り上げをセールによって達成する販促手法に頼ってきたのも、また事実

 それは、ファーストリテイリングの成長戦略にもつながることだ。柳井氏はこれまで再三「リアルとバーチャルの融合による新しい産業を創る」「顧客ニーズをすぐに商品化できるサプライチェーンにする」と成長戦略を述べている。

 「全てのプロセスがインターネットでつながれば、企画から生産、販売まで一貫していたSPA(製造小売り)のビジネスモデルが全く新しいビジネスモデルに変わる」。それはすなわち、最速で最適な数量を生産できる体制を構築することを意味している。

 この目標が達成できれば、シーズンを通じて定番商品を大量に売るこれまでのビジネスモデルから脱却し、商品の企画・生産から販売までのリードタイムを短縮することができる。それはコスト削減に直結する施策でもある。コストコントロールを徹底するためには、ファーストリテイリングのデジタル化がもはや待ったなしであることを示しているとも言えよう。

 サプライチェーンのデジタル化を推進し、大量生産、大量販売のビジネスモデルと決別することは、最終的に「売り方」を変えていくことにもつながる。これまでユニクロは、週末の新聞折込チラシで「限定価格」を大きく打ち出し、値引き販売によって計画に満たない売り上げをセールによって達成する販促手法に頼ってきた。しかし、この手法が今回の決算では粗利益率を悪化させ、ユニクロの成長の足かせになってきたのも事実だ。

 週末セールを縮小し、平日と同じプライスにしていくことはファーストリテイリングの企業体質を強化する好機と捉えても差し支えないだろう。値下げ路線の撤回、コスト構造の見直しが「チラシ商法との決別」につながる日は近いのかもしれない。業績悪化が「ショック療法」となって、新しいビジネスモデルへの転換のきっかけにつながるのか。国内アパレル最大の売上高を誇るファーストリテイリングのリーダーシップが今、問われている。