レゴランドの開業式典で挨拶をする運営会社、英マーリン・エンターテインメンツの、ニック・ヴァーニーCEO(最高経営責責任者)。「2010年に初めて建設予定地に訪れた時、ここは大きな駐車場だった。自転車で見て回った。テーマパークの設立は巨大なレゴブロックを組み上げるのと同様、集中力、イマジネーション、辛抱強さ、チームワークなどが必要になるが、ようやくオープンにこぎつけた」と感慨深げに語った(写真:早川俊昭)
レゴランドの開業式典で挨拶をする運営会社、英マーリン・エンターテインメンツの、ニック・ヴァーニーCEO(最高経営責責任者)。「2010年に初めて建設予定地に訪れた時、ここは大きな駐車場だった。自転車で見て回った。テーマパークの設立は巨大なレゴブロックを組み上げるのと同様、集中力、イマジネーション、辛抱強さ、チームワークなどが必要になるが、ようやくオープンにこぎつけた」と感慨深げに語った(写真:早川俊昭)

 4月1日、ブロック玩具「レゴ」の屋外型テーマパーク「レゴランド・ジャパン」が名古屋市にオープンした。レゴランドを運営するのは、英マーリン・エンターテインメンツだ。レゴランド・ジャパンをはじめ世界で8カ所にあるすべてのレゴランドを運営する。レゴランド以外にも複数の種類の娯楽施設を持ち、世界24カ国・地域で117カ所の施設を展開する。年間売上高は約2016億円、総来場者数で世界2位のテーマパーク運営会社だ。

 マーリンは1998年に設立された。2005年に、欧州中心に4カ所あったレゴランドの事業をデンマークのレゴグループから買収した。赤字が続き経営危機に陥っていた当時のレゴグループが、本業の玩具製造と関連性の薄いレゴランド事業を売却する決断をしたからだ。

 マーリンが運営会社となった後、レゴグループはレゴランドの運営には直接関わらず、マーリン側はレゴ事業の総収入の一定割合をライセンス料として支払う仕組みだ。

 レゴランドジャパンは海外発の大型テーマパークとして、東京ディズニーリゾート(TDR)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と比較される。「東のTDRに西のUSJ、そしてその中間の名古屋にレゴランド」という具合だ。だが、レゴランドジャパンは規模も目標来場者数も圧倒的に少ない。

 レゴランドはどこまで日本の消費者を引き寄せられるか。運営会社マーリン・エンターテインメンツの、ニック・ヴァーニーCEO(最高経営責責任者)に話を聞いた。

東京ディズニーリゾート(TDR)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)とよく比較されると思いますが、規模は小さい。面積はディズニーランドやUSJの5分の1程度。ディズニーシーを合わせたTDRと比較すると10分の1程度です。

ヴァーニー:ディズニーやUSJは強力なライバルで、名古屋にレゴランドを開業したのも同じ地域での競合を避けるためです。ですが、私たちの事業モデルはディズニーやUSJとは異なります。

 例えば上海のディズニーランドの初期投資額は数十億ドルと聞いています。それに比べてレゴランドは3億~3億5000万ドル程度です。日本では資材費や人手不足による人件費の高騰に加え、2020年開催予定の東京五輪に向けて建設業界が加熱しており世界一、建設コストがかかる状況でした。それでもレゴランドジャパンの初期投資額は320億円程度。名古屋市や金融機関にも協力いただいて、マーリンが負担したのは全体の3分の1、100億円程度です。

 テーマパーク事業は大きな資本が必要なビジネスです。規模と来場者数、顧客満足度をどのようにバランスするか。詳細な分析が求められます。