「なにせ、原発建設は34年ぶりだったから」

ジョーンズ(ボーグル原発の元作業員):「普通は一定の金額を提示して、その中で工事を終わらせるという契約を取るものだが、今回は作業した分だけ報酬を請求するという形になっていた。これだと、工事が伸びた分だけ請求されるよね。あくまでも私見だけど、最初にお金を出す人が工事の費用をちゃんと見積もれなかったということなんじゃないかな。なにせ、原発建設は34年ぶりだったから」

 「原発工事の歴史を振り返ると、最初の1機を作るときは赤字になるけど、同じものをいくつも作っていくと、より効率的に黒字になっていく。今回も作り続ければWHも利益がどんどん出たと思うよ。ただ、最後に原発を造ったときの感覚で新しい原発を造ろうと思うのは非現実的だ」

WHが建設を手掛けるVCサマー原発(サウスカロライナ州)全景
WHが建設を手掛けるVCサマー原発(サウスカロライナ州)全景
サウスカロライナ州ジェンキンズビルにあるVCサマー原発。2号機と3号機が建設中だが、こちらも進捗率は3割程度。政府の税制優遇を得るためには2020年末までの運転開始が必須だが、2020年までに運転開始が可能と考えている人間は、取材した限りでは誰一人としていなかった。発注者はスキャナ電力。(写真:篠原匡、以下同)

「3000人で3000人を見ているような状況」

 一方、とび職として現場で足場を組んでいるというグラン・テストンは、WHのてこ入れ策が逆に現場の混乱を招いていると主張する。WHはS&Wの買収を決めるのと同時に、プラント・エンジニアリング大手のFluorが、ボーグル原発とVCサマー原発の現場管理で主導的な役割を担うと発表した。プロジェクト管理に定評のあるFluorを加えることで工事のスピードアップを図ろうとしたが、結果的に上手くいっていないようだ。

ボーグル原発で建設現場の足場を組む、とび職のグラン・テストン
ボーグル原発で建設現場の足場を組む、とび職のグラン・テストン
ボーグル原発のそばのコンビニでスロットに興じていたグラン・テストン。「(WHの新型原子炉)AP1000は安価にエネルギーを作るという触れ込みだったけど、いまだに安くなっていないね。ハハハ」

テストン(ボーグル原発のとび職):「ラーニングカーブ(学習と能力の伸び曲線)っていう言葉があるだろ。経験を積むうちに作業効率が上がっていくというアレだ。CB&Iはだいぶカネを消費したが、だいぶ仕事ができるようになってきていた。ところが、Fluorが後を引き継いで仕事の仕方を変えたため、逆に工事がスローダウンしている」

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