3月29日、東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)が米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。債務保証の履行などによって、2017年3月の東芝の連結最終赤字は1兆100億円に拡大する見通しだ。2009年3月期に7873億円の最終赤字を出した日立製作所を上回る、製造業で史上最大の赤字額である。名門、東芝を債務超過にまで追い込んだ米原発建設の底なし沼。建設にかかわった作業員はどう見ているのか。現場の声を聞いた。
(ニューヨーク支局 篠原匡、長野光)=敬称略
「間違った会社が工事を始めた」
ウエスチングハウスは「航空機の衝突などに備えた設計変更や許認可の遅れが、工事が遅れている原因」(※参考 2017年3月13日配信記事「東芝存続には、WHの“破産”以外に道はない」)と日経ビジネスの記者に述べているが、現場に出入りしている作業員は、それだけではないと語る。
例えば、2011~14年の3年間ボーグル原発で働いていたジョーンズ(本人の希望で仮名)は「間違った会社が工事を始めた」と語り、工事を請け負っていた原発のエンジニアリング会社、米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W、2015年12月にWHが、米CB&Iから買収した企業。底なし沼となった原発建設の元凶。※参考 2016年12月28日配信記事「東芝、原発事業で陥った新たな泥沼」)を批判した。

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