1日採用社員、離職は意外にゼロ

 ただ、この採用には依然、疑問がいくつか残っている。

 例えば、1日採用で学生が本当に会社のことを理解できるのか、だ。1日だけでは会社のことを理解するのは難しい。思い違いがあれば、入社してから気づいて、下手をするとすぐに退職してしまいかねない。

 そんな疑問を解消すべく、ユナイテッドは内定を出した学生に対し、社員がメンターとなって相談を聞く機会を設けている。スカイプを使い、いつでもどこでも社員に話を聞けるというものだ。これならば地方の学生でも安心して会社を知ることができる。

内定学生には、不安や疑問などにいつでも人事担当者が答える仕組みを整えている
内定学生には、不安や疑問などにいつでも人事担当者が答える仕組みを整えている

 ほかにも、入社前にアルバイトとして働く機会を設けている。これは主に在京学生向けのものだが、実際にアルバイトとして働いて昨年入社した社員は「1日採用で少し不安もあったが、会社の中でアルバイトをすることで深く知ることができた」という。

 続く疑問は内定辞退が大量に出るのではないか、というものだ。

 1日採用という軽いノリに見える採用だから、内定辞退も多いと考える読者も少なくないだろう。ユナイテッドは「内定しても就職活動は継続してもらっていい」というスタンスを打ち出している。ほかの企業を見てもらったうえで、それでも良いと思ったら入ってほしい。その姿勢があるため、内定辞退はやはり一定数は出るという。そういう背景もあり、1日採用以外の一般的な採用なども同時に行っている。辞退者をあらかじめ計算したうえで、内定を出している。

 1日採用におけるユナイテッド側のメリットはどのようなものか。

 「大手志望や当社を知らなかった学生が『1日採用』をキッカケに当社を知り、興味を持って説明会へ参加してくれている」と人事担当者の井上怜氏は語る。

 この制度が呼び水になって、今まで獲得できなかった人材を獲得できるようになったという。また「説明会から、複数回の面接を1日で実施することで、当社の理解が進み、内定後の承諾にも繋がる」(井上氏)とも。

 1日採用によって、昨年は6人の社員が入社し、もうすぐ1年経つが誰も退職はしていないという。今年は4月に11人が入ってくる予定で、現在採用中の来年入社組はさらに増える見込みだ。

 ユナイテッドの1日採用には当初、いろいろな疑問があった。だが、その疑問をカバーする工夫を同時に施していることが分かった。優秀な人材をどう採り、育てていくか――。採用の仕方は企業によって千差万別。いろいろユニークな制度があって当然だ。ただ求められるのはユニークさだけではない。一風変わった制度の裏には、きちんと学生をサポートする仕組みが必要だ。

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