米エアビーアンドビーが「民泊」にとどまらず、日本で旅行事業を幅広く展開し始める。訪日外国人が日本文化を体験するイベントなどを予約できるサービスを拡充する。既存の大手旅行会社が未開拓の市場にいち早く食い込み、旅行の「インフラ」として存在感を高めそうだ。

3月21日、エアビーアンドビーのジョー・ゲビア共同創設者(右)は旅行事業の本格展開を発表。旅行サービスの「ホスト役」を招き、語り合った

 3月に来日したカナダ人のラファエル・セイヤーさん(30歳)は、新潟県の酒蔵を巡ったり、東京・秋葉原でゲームセンターを体験したりして、旅行を楽しんだ。酒蔵では個人で手配した英語によるツアーに参加し、日本酒の説明に耳を傾けた。

 このように訪日外国人は有名な観光地を訪れるだけではなく、様々な形で日本文化に触れることを求め始めた。民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーのジョー・ゲビア共同創設者が3月下旬に発表した事業計画は、これに応えるものだ。

 提供するのは、例えば盆栽作りや魚料理の体験ができるサービスだ。サービスを提供するホストは、英語を使って少人数の観光客をもてなすケースが多い。エアビーはネットを通じて様々な催しを予約できるようにすることで、観光客とホストをつなぐ役割を担う。

 ゲビア氏は自身も盆栽のワークショップに参加してみて「得難い経験をした」と、喜んだ様子。ホストは旅行ガイドのプロというより、盆栽などその道のプロが副業的に知識を伝授することも多くなりそうだ。平均のサービス単価は1万円程度の見込みという。

 こうした旅行サービスは現状、既存の旅行会社と競合する点が少ない。旅行会社はこれまで、有名な観光地を目的地として団体客を募ってきた。大型バスを利用して、効率よく低コストの旅行を提供できる半面、画一的なサービスになりがちだった。

 これに対してエアビーは細分化された個人の好みに対応する。一方で自社でイベントを運営するわけではなく、あくまで仲介役として手数料をとるモデルであり、リスクは小さい。副業としてホストをやる人が多くなりそうで、自宅の空き室を貸す民泊の事業モデルの延長線上にあるとも言える。