ロンドン警視庁のマーク・ローリー副総監は、警察官が1人殉職したことを発表し、肩を落とした。

 22日の夕方にロンドン警視庁前で会見したマーク・ローリー副総監は、「絶対に起きてはならないと信じてきたことが、悲しいことに、現実になってしまった」と肩を落とした。

 ロンドンでは、2005年7月の地下鉄爆破テロ以来、ここまで注目を集めるほどの事件は起きていなかった。パリ、ブリュッセル、ベルリンと、欧州の大都市ではここ数年、大きなテロが相次いでいる。その中で、ロンドンだけは持ちこたえてきた。

 その理由の一つが、世界最高峰と言われる英国の諜報機関や、警察の強固なセキュリティ体制だが、近年は終わらないテロとの戦いに、警察側も疲弊し始めていることも指摘されていた。英国のテロ警戒レベルは2014年8月以来、5段階のうちの上から2番目の「重大」が続いている。

ロンドンの観光業に影響する可能性も

 今年3月6日、英警察当局は2013年6月以降、国内で13件のテロ計画を未然に阻止したことを明らかにした。一方で現場の警察官への負担は重く、「現場は限界に近づいている」といった報道も出た。昨年7月、ロンドン警視庁のホーガンハウ警視総監は英地元紙に対し、「英国のテロは『起きるかどうかではなく、いつ起きるか』という問題だ」と述べていた。

 そんな中で、今回の事件が起きた。

 英国は21日、中近東などの6カ国から英国への直行便で、スマートフォンよりも大きい電子機器の機内持ち込みを禁止する措置を発表した。米国の発表後に即座に追随した措置で、英政府が何らかのテロ情報をつかんでいるのではないか、との憶測も広がっている。

 事件は、今後どのような展開を見せるのかは、今のところ見通すのは難しい。ただ、仮に事件がこのまま収束しても「ロンドンが"テロ事件"を許した」というショックは、ポンド安で賑わうロンドンの観光産業に少なからず影響を与える可能性もある。観光は、英国の好調な経済を牽引している主力産業だけに、政府としては何としても広がりを食い止めたいところだろう。

 テリーザ・メイ首相は事件を受け、22日午後9時近くに会見し、犠牲者を追悼した。「民主主義、自由、人権、法律といった議会の価値を暴力やテロで征服しようとする者は、必ず失敗する」と語り、攻撃に屈しない姿勢を強調した。議会は明日から通常通り開くとも述べた。

 奇しくも3月22日は、ベルギーのブリュッセル空港で起きた爆破テロからちょうど1年だった。