LCCはまだまだ伸びる

貿易の伸び率がGDP成長率を下回る「スロートレード」という現象が顕著になっています。

ドゥ・ジュニアック:以前は貿易の伸び率がGDPの伸び率の2倍くらいの時期もありましたが、リーマンショック以降、状況が大きく変わりました。国際貿易が減速しました。

 最近は回復基調にあり、2017年には貿易の伸び率が2008年並みに回復すると見ています。

2017年以降の旅客数の見通しは。

ドゥ・ジュニアック:2017年は旅客数と貨物は好調に推移しそうです。旅客数は40億人に達する見込みで、2035年には70億~80億人になりそうです。最も成長が速いのがアジアです。

アジアが世界の旅客数の伸びに最も貢献するのですね。

ドゥ・ジュニアック:アジアは繁栄している国が多いですし、航空券の購買力が伸びています。

 新しく航空券を買える人が世界全体で5000万人増えていて、そのうち3000万人がアジアです。

アレクサンドル・ドゥ・ジュニアック氏。IATA事務総長兼CEO(最高経営責任者)。航空宇宙産業やフランス政府の主要ポジションなど官民合わせて約30年の経験を持つ。2011~2013年にエールフランス航空の会長兼CEO、2013~2016年にエールフランスKLM 航空の会長兼CEOを務めた。2016年9月から現職
アレクサンドル・ドゥ・ジュニアック氏。IATA事務総長兼CEO(最高経営責任者)。航空宇宙産業やフランス政府の主要ポジションなど官民合わせて約30年の経験を持つ。2011~2013年にエールフランス航空の会長兼CEO、2013~2016年にエールフランスKLM 航空の会長兼CEOを務めた。2016年9月から現職

この数年は世界的にLCC(格安航空会社)が伸びています。

ドゥ・ジュニアック:LCCはめざましい伸びを見せています。特に欧州とアジアで伸びています。新しく航空券を買えるようになった人たちがLCCを積極的に利用しています。

発行される航空券全体に占めるLCCの割合は、今どの程度ですか。

ドゥ・ジュニアック:世界全体では27%です。北米では33%、欧州では38%です。アジアは24%で、そのうち東南アジアは53%なのに対して、東アジアは8%にとどまっています。

今後はフルサービスキャリアとLCCの割合はどうなりそうですか。

ドゥ・ジュニアック:今後はさらにLCCの割合が増えそうです。その理由は、フルサービスキャリアが子会社としてLCCを抱えて、利用を促しているためです。

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