2017年3月期の自動車各社の決算は、円高に米国市場の変調が追い打ちをかけ、厳しい内容となった。今期も市場が伸び悩む中、販売競争は激化しそうだ。逆風下で日本メーカーはどう生き残るのか。そのヒントが決算発表で垣間見えた。生産の柔軟性だ。とりわけ結果を出したのが日産自動車だった。

(日経ビジネス2017年5月22日号より転載)

変化に対応して乗用車からSUVに生産をシフトする日産の米国工場

 日本の自動車メーカーの“ドル箱”である米国市場が「変調の時」を迎えている。2017年1~4月の新車販売台数は4カ月連続で前年割れ。特徴的なのは、乗用車が縮小する一方、SUV(多目的スポーツ車)やピックアップトラックが全体の6割以上を占めるまでに拡大していることだ。

 変化に対応して販売台数を伸ばすには、生産する車種を柔軟に変更できる生産体制が欠かせない。17年3月期の決算では、その「格差」が浮き彫りになった。

 泣いたのはトヨタ自動車、笑ったのは日産自動車だ。米国を主力とする北米市場で、トヨタの販売は16年3月期と比べて微減の284万台弱。これに対し、日産は5.9%増の約213万台で、販売の増加が目立った。

 トヨタと日産は、決算発表での発言も対照的だった。トヨタの永田理副社長は「工場ごとに見ると、ピックアップトラックやSUVの需要と供給のバランスが合っていなかった」と反省。これに対し、北米市場を担当する日産のホセ・ムニョスCPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)は「日産には全体のビジネスを市場(の変化)に合わせられる力がある」と胸を張った。

 両社の明暗を分けたのは、各工場で生産する車種の配分にあったと考えられる。例えば、トヨタは乗用車「カローラ」をミシシッピ州の工場で生産。大型SUVはインディアナ州の工場、ピックアップトラックはテキサス州の工場で生産し、それぞれの工場が得意領域に注力する「分業体制」を敷く。