アレルギーが少ない日本

 実は日本市場ではディーゼル車の販売が好調だ。17年1~6月の輸入車販売に占めるディーゼル車の比率は半期で初めて2割を突破。メルセデス・ベンツやBMWなども力を入れており、輸入ディーゼル車の品ぞろえは13ブランド、54モデルに広がっている。

 世界的にはイメージ低下が著しいディーゼル車が売れる日本の不思議。そこにVWは商機を見いだす。何よりも「日本の消費者はディーゼルに対するアレルギーが少ない」と見る。石原慎太郎氏が東京都知事だった00年ごろにディーゼル車に厳しい規制が課されたことで、今や黒煙をまき散らす負のイメージが薄れていることが大きい。欧州勢を中心に磨きをかけてきた排ガス浄化技術の進化も追い風だ。

 VWが新たに投入するディーゼル車も「(有害な物質を浄化する)高性能な触媒を搭載することで、世界で最も厳しいとされる日本の規制に適合させた」(VWグループの東京技術代表オフィスのジェネラルマネージャー、青木徹氏)。以前から掲げてきたクリーンディーゼルの旗も降ろさないという。

 一方で、こんな思惑も透ける。「航続距離やインフラに課題が残るEVは当面、日本を含むグローバル市場でたくさん売れることはない」(VW関係者)。ならば、販売を伸ばせる可能性が高いクルマを投入するのは当然の戦略だ。

 派手に打ち上げるEVを“見せ球”にして、不正イメージが付きまとうものの、確実に売れそうなディーゼル車をてこ入れする。そんなVWが日本で採る戦略が、かえって同社の販売の苦戦ぶりと、注目を浴びても普及がなかなか本格化しないEVの現実を映し出している。

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