目指すはEV300万台、VWは4.5兆円投資で引き離し
次世代EVを発表するVW乗用車部門のディースCEO
次世代EVを発表するVW乗用車部門のディースCEO

 トヨタ自動車がEV(電気自動車)で巻き返しに挑む中、ライバルの独フォルクスワーゲン(VW)は一気に引き離しに動く。11月下旬には、独アウディなどを含むグループ全体で2018~22年に340億ユーロ(約4兆5000億円)を投資すると発表。EVを中心とする電動化車両の開発を加速し、グローバルな生産体制の構築を急ぐ。「電動化でライバルをリードし、ボリュームゾーンで主導権を握る」。VW乗用車部門のヘルベルト・ディースCEO(最高経営責任者)はこう強調する。

 目玉は独ザクセン州のツヴィッカウ工場にEV専用ラインを設置すること。20年にVWが発売を予定する、EV専用車台(プラットフォーム)「MEB」を使う次世代EVを生産する予定だ。

 VWは既にEVの「e-Golf(イーゴルフ)」を手掛けるが、プラットフォームはガソリン車やディーゼル車と同じものを使っていた。だが、構造的な制約から、電池の搭載量拡大や低重心化など、EVとしての性能を追求するには限界があった。その制約を解き放つのが専用プラットフォームを使うEV「I.D.」シリーズ。EVに最適な構造を実現し、満充電時に走行可能な距離(航続距離)を400~600kmまで延ばすという。

 VWでは同シリーズの小型車やSUV(多目的スポーツ車)などのEVを続々と投入し、量産の急速立ち上げを狙う。

 20年時点のI.D.の生産規模は年間10万台を見込むが、25年にはVWグループ全体で年間300万台のEV生産を目指す。VWに加えて、アウディなどのブランドでも同じプラットフォームを活用。圧倒的なスケールメリットでEVをディーゼル車並みの価格まで引き下げようとする。VWグループはEV普及を強力に推進する中国で高いシェアを持つことも、量産拡大に有利に働くとみられている。

 もっとも、世界的に環境規制が強まっているとはいえ、EVの普及ペースについては業界内でも意見が分かれる。どれくらい売れるかが分からない中で、各社はどこまでEVに投資するか、頭を悩ませる。

 それでもVWは自社グループ内で巨額投資のリスクを負う。ディーゼル車の排出ガスの不正問題でブランドが傷ついた中では、EVに注力することが復活の一番の近道と考えるからだ。

 VWと世界一を競うトヨタはEVでマツダなどの提携先を巻き込みながら、リスクを分散する。だが、VWグループは単独で取り組む方が、開発や投資を迅速に決断しやすいと考えているようだ。

(山崎 良兵)

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