「トヨタの二番煎じでは売れない」

「提案できる会社」は、部品メーカーが生き残りを掛ける時代に必要なキーワードです。改めて、具体的なイメージをお聞かせ下さい。

伊原:それはやっぱり、自動車メーカーがある程度、丸投げできる会社ということでしょう。具体的には、適合試験の評価。うちは評価設備やテストコースを豊富に持っていますから、部品単品の評価だけではなく、クルマの挙動も含めて評価できる。これは自動車メーカーにとってはありがたいことなんですね。

アイシン精機のグループ3社が共同開発した電動式四輪駆動システム。トヨタの新型「プリウス」に採用された

 要するに部品単品ではなく、例えばウォーターポンプだけではなくエネルギーマネジメント全体の評価ができるとか、システムとして提案できるということ。さらに、開発から含めた提案。これが、僕のいう「提案できる会社」が意味するところです。

テストコースなどの設備や評価のための体制はもともと持っていたもの。これまで提案できなかったのは、どこに問題があったのでしょう。

伊原:やっぱりトヨタの下でずっと言うことを聞いてやってきたというのが一番大きいと思うんですね。トヨタ向けに開発したものを他社に持って行って、それが売れる時代は良かった。事実として、売り上げはかなり増えた。

 しかし、今は次のステージに入っています。そのお客さんに合わせた商品でないと、パートナーとして認めてくれなくなっている。自動的に、提案しなければならない時代になっているのです。

 例えばトヨタの場合は、一緒に話をしながら、ある部分は教えてもらいながら長いスパンで開発を進めてきました。でも他社は違う。提案したものが良いかどうかで決まるわけです。

以前、トヨタ以外への販売について、「トヨタ向けの製品を売る地域」と「新製品を提案する地域」、「コスト競争力がある安い製品を売る地域」に分類する必要があると発言していました。どのような地域戦略を描いていますか。

伊原:会社ごとにどういった商品を売っていくかというメドがついてきました。狙うのは、「デトロイト3」(ゼネラル・モーターズ、フォード、クライスラー)と中国の現地自動車メーカー、トヨタ以外の日系メーカーですね。この3つが一番大事ですから、方向性を決めているところです。

 例えば米国メーカー向けのサンルーフや中国メーカー向けの製品は、コスト競争力が必要です。トランスミッションは米国メーカー、日系メーカー向けに、これまでの製品とは別のものを提案することが求められている。二番煎じではダメですね。