米連邦準備制度理事会(FRB)は3月15日、今の正常化局面で3度目となる利上げを決定した。今回の利上げを巡る最大のサプライズは、米連邦公開市場委員会(FOMC)での決定そのものにはなく、FRBが3月利上げに向けてやや唐突に思えるコミュニケーションを2月末以降の数日間で集中的に行った点にある。

 2月末には地区連銀総裁などによる利上げ支持発言が相次ぎ、続いてハト派筆頭格のブレイナード理事などがこれに加わった。更に3月3日にはフィッシャー副議長とイエレン議長という2人の重鎮がダメ押し的に利上げを示唆する、という念の入ったコミュニケーションで、難なく市場に3月利上げを織り込ませた。

 1月のFOMC議事録が発表された2月22日の時点では、「今年の初回利上げは6月」がコンセンサスであったことを思うと、この間に一体何があったのか、改めて気になるところである。

利上げ決定は「トランプ演説」がきっかけか

 もっとも、FRBにしてみれば、方針の急変更をしたつもりは全くなく、あくまで市場が早期利上げのシグナルを読み誤っていただけ、ということになるのだろう。後付けだが、完全雇用に近い現在の米国において、最近の株高や消費者・企業センチメントの急上昇、そして、融資の高い伸び等は確かに要警戒域にあると言えるし、今回声明では物価に対する上方修正が目立ち、ほぼ目標を達成しつつあると宣言してもいる。

 ただ、FRBがこうしたコミュニケーションを開始した時期に重なる2月28日には、トランプ大統領による初の上下両院での議会演説が行われている。以前からトランプ政権による財政拡張路線に警戒的な立場を取ってきたイエレンFRBにとって、これが利上げ実施の背中を押すきっかけの一つになった可能性をどうしても連想してしまう。

 この演説は、特に政策の詳細が示されたわけではないものの、就任演説などと全く異なり伝統的な大統領らしさを意識したいわば「本気度が伝わる」内容であった。本気度が高まったトランプ政権が打ち出すであろう財政刺激策は、景気過熱、インフレ上振れ、そして財政赤字拡散などが懸念され、警戒は怠れない。牽制的な意味を込めて、FRBが3月利上げに動く決意を一気に固めたと考えるのは、見当外れであろうか。